思いがけないところから出自を知ることもあるらしい。互いに半分にし合ってきた傷や感情が、血を意味するとは。
もはや残滓に過ぎない信仰と、全く実感の伴わない伝承が、この期に及んで降りかかってこようとは。
すでに審判は下された。存続を問われているものは既にない。<拒絶する者>は予定通り拒絶し、<受容する者>は予定通り受容した。そうなるようになっていた。
ならば、その<審判>という役割は何なのか。戦いに巻き込まれてきた結果、大本とは遠く離れた地で、途方に暮れる子孫がいること想像する者はなかったのか。
「根絶されたわけではない、暗黒神の心故に我らは生き残った。今、問われているのはそれだ」
受容と怠惰。創造神の片割れである暗黒神が司るもの。光明神はそれをも拒絶する。
「それで」
「君は」
「「どちらを連れて行くつもりなのさ?」」
残ったもう一方の引き取り手らしい異種族がその後方で居心地悪そうにしている。
同じ顔、同じ声、同じ背丈。どちらでもないが、より女に近いのがキリンで、男に近いのがシリン。
どちらかが神族の存続の是非を問う審判である<聖王>、どちらかが魔族の存続の是非を問う<邪王>。
魔族とか、邪王とか禍々しいネーミングなのは、堕落寄りだから、らしい。心持ち緩い方と思っておけば良いだろう。戻るのは難しいが、あらゆる種族が比較的楽な方法で魔族に転化できる。
「どうしたら良いと思う?」
かつて海の向こうの大陸を統べた覇王は、神族を消し去ろうとする力に伴う大破壊から、大陸の4分の3を守って姿を消した。
そんなのが始末に困った箱入りの小動物みたいな顔をしていると言って、信じる者はあろうか。
「いっそのこと4人で旅でもするか?」
シリンは顎で後方を指し示しながら、元覇王に問うた。
「その必要があるかどうかもわからない」
神族の生き残りは振り返りもせず、緩やかに提案を除けた。
こいつ、面倒くさいやつだ。
双子の見解は一致した。
もはや残滓に過ぎない信仰と、全く実感の伴わない伝承が、この期に及んで降りかかってこようとは。
すでに審判は下された。存続を問われているものは既にない。<拒絶する者>は予定通り拒絶し、<受容する者>は予定通り受容した。そうなるようになっていた。
ならば、その<審判>という役割は何なのか。戦いに巻き込まれてきた結果、大本とは遠く離れた地で、途方に暮れる子孫がいること想像する者はなかったのか。
「根絶されたわけではない、暗黒神の心故に我らは生き残った。今、問われているのはそれだ」
受容と怠惰。創造神の片割れである暗黒神が司るもの。光明神はそれをも拒絶する。
「それで」
「君は」
「「どちらを連れて行くつもりなのさ?」」
残ったもう一方の引き取り手らしい異種族がその後方で居心地悪そうにしている。
同じ顔、同じ声、同じ背丈。どちらでもないが、より女に近いのがキリンで、男に近いのがシリン。
どちらかが神族の存続の是非を問う審判である<聖王>、どちらかが魔族の存続の是非を問う<邪王>。
魔族とか、邪王とか禍々しいネーミングなのは、堕落寄りだから、らしい。心持ち緩い方と思っておけば良いだろう。戻るのは難しいが、あらゆる種族が比較的楽な方法で魔族に転化できる。
「どうしたら良いと思う?」
かつて海の向こうの大陸を統べた覇王は、神族を消し去ろうとする力に伴う大破壊から、大陸の4分の3を守って姿を消した。
そんなのが始末に困った箱入りの小動物みたいな顔をしていると言って、信じる者はあろうか。
「いっそのこと4人で旅でもするか?」
シリンは顎で後方を指し示しながら、元覇王に問うた。
「その必要があるかどうかもわからない」
神族の生き残りは振り返りもせず、緩やかに提案を除けた。
こいつ、面倒くさいやつだ。
双子の見解は一致した。
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