投票率23・59% 過去最低を更新
大阪市を解体する「大阪都」構想の破綻に直面した橋下徹氏(日本維新の会共同代表)の身勝手な辞職に伴う「出直し市長選」が23日投開票され、橋下氏が前回票を大幅に減らし再選されました。投票率は過去最低だった28・45%(1995年)を大幅に下回る23・59%となりました。任期は来年12月までで「選挙」前と変わりません。
日本共産党大阪府委員会の山口勝利委員長は開票結果について「『出直し選』への批判、都構想を見放す意思が明確に示された」と指摘。「都」構想は「きっぱり断念すべき」であり、橋下氏が主張する法定協の委員入れ替えは「到底許されない」と強調しました。
今回の「出直し選」は、「都」構想が行き詰まるなか、橋下氏が議会側との議論を一方的に打ち切り、約6億円の税金を使って仕掛けた大義も道理もない暴挙でした。実施自体に市民多数が反対し、自公民各党が候補者擁立を見送るなか、日本共産党は「大阪都ノー・維新政治打破」を目指す共同を重視する立場から独自の候補者は擁立しない方針でのぞみ、「都」構想の害悪や「維新政治」の実態などを告発する取り組みに「大阪市をよくする会」とともに力を尽くしました。
山口氏は、こうした方針と運動が市民の共感と理解をえて、政治的立場をこえた共同が広がったことを踏まえ、今後も一致するすべての政党・団体・個人と共同を追求し、新たなたたかいを前進させる決意を表明しています。
橋下氏、自らの暴挙で窮地
― 無駄遣いに批判広がる
23日投開票の「出直し大阪市長選」で再選された橋下徹氏は、自らの暴挙と市民の批判によってさらなる窮地に陥りました。
議会封じに
「まー、盛り上がりません。もう選挙やっているんだか」。22日、橋下氏は難波での最後の演説をこんなボヤキから始めました。「メディアが何も報道しない」「ふざけてる」と八つ当たり。「明日は万歳も記者会見もやらない」とヤケッパチです。自業自得と言わざるを得ません。
橋下氏は告示前、(1)夏までに「大阪都」構想の設計図を作る(2)そのために、府・市の議員と「大阪都」構想の制度設計を議論してきた法定協の委員を入れ替え維新を過半数にする(3)ただしそれを一方的にやれば、それこそ独裁だ。だから民意を問う―と語り、選挙を“議会封じ”に使おうとする意図を公然と示していました。
しかし、この主張がいかに不当で、この選挙がいかに無駄かは9日の告示後、ますます明らかになりました。世論調査でも来年4月の「都」構想実現を目指す橋下氏の日程に「こだわる必要はない」が71%、反対派委員排除にも59%が反対です(17日付「朝日」)。当初、公営掲示板に橋下氏のポスターしか張っていなかったことも市民をあきれさせ、「選挙費6億円の無駄遣い」との批判はさらに広がりました。
そもそも「市長選」では維新が過半数に及ばない府・市の議会の構成は変わりません。
維新は府議会で前に除名した議員(4人)を取り込んで、法定協の委員を代えようとしていましたが、20日には府議選の区割り案の委員会採決でも、元維新議員が反維新の態度を表明。むしろ24日の本会議採決に向けて維新議員の「離党検討」や「離党ドミノの懸念」が報じられているのが現実です。
市議会でも15日、当初予算案の修正案が維新以外の全会派の賛成で可決され、橋下氏がこだわって大失敗した校長公募の関連経費などが削られました。市民の足を売り飛ばす市営地下鉄・市バスの民営化も4度目の継続審議となりました。
橋下氏が今回の選挙で最大の売り物とした「都構想をやれば大黒字。実現しないと大赤字」の「3色グラフ」も市議や専門家、日本共産党が加わる「大阪市をよくする会」の批判で知る人ぞ知るペテンの象徴に。大阪では新聞の1面にも「精査を求める声は…市内部まで広がっている」(「毎日」17日付)と報じられるに至って、橋下氏は「細かな数字の問題ではない」「一つのイメージ」とごまかしに走りました。
対話進める
「よくする会」は「都」構想や維新の主張のデタラメを徹底して批判。「一方で市民向け施策を削りながら『都構想でサービスが向上』という維新の宣伝をみんなおかしいと思っています」「維新は過去の無駄な開発を批判しているが、市から権限と財源を吸い上げ無駄な開発を都の規模で進めるのが都構想」と対話を進めました。全戸配布や市内駅頭いっせい宣伝などで220万枚を超えるビラ(機関紙)を配布。各地で連日のようにシール投票や集いを行い、かつてないほど多くの区で町会役員訪問に取り組みました。橋下氏はこうした運動と市民の世論によって追い詰められたのです。