有る男性が事故で手の指を2本失う、しかし、医療保険に入っていないため治療費が払えず、一本しか縫合手術が受けられない。うそのようなほんとの話、
マイケル・ムーア監督が米国の医療保険制度を痛烈に批判したドキュメンタリー映画「シッコ」に登場するエビソードだ。
シッコとは、病気の意味。先進国アメリカの抱える重い病に大きなショックを受けた。米国には国民皆保険の制度がない。
そのため国民の16%にあたる四千六百万人は医療保険がなく、十分な治療が受けられないでいる。
映画は、無策の政府や利益優先の民間保険会社などを徹底的にたたきのめす。深刻な医療問題は、開幕している米大統領選の争点の1つにもなっている。
ブッシュ政権のイラク政策失敗で意気消沈気味の共和党に対し、八年ぶりの政権奪回を狙う民主党の候補者初の黒人大統領を目指すオバマ上院議員、
初の女性大統領を目指すヒラリー・クリントン上院議員か。誰がなろうと医療保険改革は待ったなし。
米中枢同時テロで大量の粉塵を吸い込んだ消紡局の元救急隊員が、呼吸器疾患の治療薬さえ買えない現実はあまりにも理不尽。
11月まで続く米大統領選。日本にとっても、目ははなされない事柄です。