〈第三項〉論で読む近代小説  ◆田中実の文学講座◆

近代小説の読みに革命を起こす〈第三項〉論とは?
あなたの世界像が壊れます!

村上春樹の小説の難解さ

2022-08-12 15:31:37 | 日記
先のブログに、今度の28日の講座には唐突に村上春樹の『女のいない男たち』に収録されている『木野』と言う短編小説の作品を論じますとお伝えしました。
 何故教材にもならず、さして有名でもない作品を取り上げるかと言えば、村上の最新作『一人称単数』や自伝エッセイ『猫を棄てる』の話や魯迅の『故郷』、あるいは宮沢賢治の『注文の多い料理店』論や『白いぼうし』論を最近語る機会が多い中、世界観認識の転換を踏まえた原理論の扉を開けるには、読み手の身体に食い込む作品を共有したいと夢想したから、です。
 まだ二週間以上も先の予定ですが。

 『木野』は神田と書いてカミタと名乗る不思議な男が登場します。正体不明です。主人公の木野は妻の不倫の現場に唐突に遭遇し即離婚、この木野が作品末尾、魂から涙して終わるパターン通りの話ですが、これが難解、ここには何が起こっているのでしょうか。
 木野は離婚後「木野」と言うバーを開業、カミタを含め、それなりに客が来る中、トラブルのある客も現れますが、何故でしょう、それまで店を出入りしていた猫が消え、代わりに蛇が現れます。木野はカミタに唐突に誘導されて店を休業し、末尾独りビジネスホテルに泊まっていると、真夜中、ドアをノックする音がします。その後もあり得ないこと、八階の窓を外からさらに誰かが叩きます。この話を一緒に読みませんか。

8月の朴木の会のお知らせ

2022-08-12 10:43:39 | 日記
今月の朴木の会は司会者にお願いして時間を区切ってもらい、
前半40分は近代小説の《神髄》の原理的な話、
休憩を5分挟んで後半45分は『木野』の話をします。
目に見える現実は言語によって制作された出来事に過ぎないことを踏まえて
近代小説を読んでいくと、どういうことが起こるか、といった原理的・抽象的な話をしてから、
具体的な作品についてお話したいと考えています。
以下は朴木の会の方からのお知らせです。


8月27日(土)に、田中実文学講座を開きます。

 今回のテーマも「「近代小説の《神髄》」を求めて」。
村上春樹作品を取り上げます。
 はじめて方も歓迎します。大勢の皆さんのご参加をお待ちしています。

作品      村上春樹『女のいない男たち』の中の『木野』
講師      田中実先生(都留文科大学名誉教授)
日時      2022年8月27日(土)午後1時半から午後3時
参加方法    zoomによるリモート
申込締切    2022年8月27日(土)12時まで

参加をご希望の方は、お名前、所属をご記入のうえ、下記のアドレスに申し込んでください。申し込まれた方には折り返しメールでご案内します。
dai3kou.bungaku.kyouiku@gmail.com  

主催   朴木(ほおのき)の会