扇ヶ鼻を降りて、西千里ヶ浜に出る。
すぐに、星生山西尾根分岐である。
どうしようかなぁ、星生山は。
えーい、止めた!
このまま西千里を歩いて、さっさと久住山に登ろっと。
だって……
寒いんだもん!
体の寒さ対策は十分だが、顔と指先はどうにもならん。
それに登ったとしても視界ゼロだし。
星生山をすっぱりと諦め、久住山方向に歩を進めていると、霧の中に、何やら話し合いをしているグループが見えてきた。
どうやら星生山に、直登ルートで登るかどうかの思案のようだ。
程なくして、星生山登山は取り止めの方向でまとまったらしい。
ぞろぞろと先へと進み出した。
星生山を諦めたのが、私一人じゃ無かった事に、少しホッとする。
これは積雪ではない。
霜柱である。
20㎝近くはあろうか。
肥前ヶ城も真っ白に冬化粧だ。
これは西千里どの辺りだろうか。
なんせ背景が霧だけなのだ。
場所の特定が難しい。
えーっと、これはどこ方向を撮ったんだっけ。
順番で言えば、星生崎方向かな?
わざわざグローブを外して、かじかみながら撮ったのに、皆目わからん!
避難小屋前の広場。
何もかもが霧の中だ。
さて、
そろそろ昼時だ。
と言っても、この寒さである。
流石に山頂で昼飯と言う気分ではない。
この小屋で、昼飯を食っとこっと。
先程のグループも、奥の方で賑やかに昼食の準備をしていた。
有難う、さいとうあすかちゃん。
君のお祈りのお陰で、とっても美味しいよ。
飯も食ってあったまったし、ボチボチ久住山に取り掛かるか。
小屋から出て数歩。
ご覧の様にガスガスだった久住山が、
ありゃまあ。
見る間にガスが取れちゃったよ。
この間、1分もかかってはいない。
北千里方向を振り返ると、三俣山と平治岳の姿が。
この一瞬だけ、星生崎も姿を現した。
天狗ヶ城。
残念ながら、中岳はその姿を拝めなかったが、御池の氷結はどうなってるだろうか?
と、その時、久住山に彩雲が掛かった。
神々しいとしか言いようが無い光景である。
だがしかしである。
くじゅうの山々が姿を現したのは、ほんの一瞬。
瞬く間に霧で覆われて行った。
ヒトミちゃん久しぶり。
この岩場を過ぎれば、
あ、失礼!
ごほん!
状況を説明したい。
山での撮影はミラーレスを使っているが、自撮りはスマホである。
ところが、私の横着スマホ、手袋モードにしても、反応してくれなかったのだ。
だからこの時、私の右手は完全なる素手である。
この間抜けにポカンと開いた口は、あまりの辛さのせいなのだ。
と言うか、
そこまでして自撮りをする必要は元よりないが。
えーっと、とにかく久住山山頂である。
山頂には、一人の登山者もいない。
前回からの投稿で、『寒い』と言うワードを何回使っただろう。
とにかく風が強く、寒い!
とっとと降りねば。
暫く南斜面を降りて行くと、嘘のように風が止んだ。
そして青空も広がってきた。
さっきまでの、あの極寒は何だったのだ。
久住山の斜面越しに、久住高原が見える。
ガレ場が続く。
ガレ場が終わると、やがて木段に変わる。
そこでは、浮いた木段や、倒れた木段の改修工事が行われていた。
「毎日ここまで、歩いて登って改修工事ですか。本当に有難うございます。」(私)
「いえいえ、どういたしまして。滑りやすいですから気を付けて。」(工事関係者)
深々と頭を下げて通過する他ない。
久住山よさらば。
この橋を渡ると、赤川登山口はすぐそこだ。
登山口到着だ。
体の芯まで冷えている。
今すぐにでも温泉に浸かりたいが、駐車場の上の赤川荘は、このところ平日は営業していないらしい。
白濁のいい湯なのだが、仕方がない。
帰りにどっかで入っていくか。
立ち寄ったのは田の原温泉。
チャポン
あー、冷えた体が生き返って行くぜ。
・・・極楽極楽。
くじゅうはすっかり冬の装いを済ませていた。
次回は、凍結した御池がテーマかな。