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Tシャツとサンダルの候

由布岳クライシス

とっとと山準備を済ませて、キャンプ場を出発。

9時過ぎには、由布岳登山口に到着した。



晴れ渡る青空。

絶好の登山日和・・・の筈だが。



久しぶりの由布岳。

この後、自分の身に起きる事など、知る由も無い私は、にこやかにスタートである。



登山道は、すぐに樹林帯へと替わる。

それにしても、


暑い!


アウターもインナーも脱ぎ捨て、半袖のTシャツ一枚となる。



・・・事は既に始まっていた。



合野越到着。

この暑さだ。

念のため、早めの水分補給をする。



休憩の後も快調に飛ばす義兄二人。

いつもなら、三人の歩くペースは同じである。

なのに、私だけが遅れ気味だ。



樹林帯が終わり日陰が無くなると、ハッキリと我が身の異変を認めざるを得ない。

先を行く二人に追い付こうにも、どうにも足が前に進まないのだ。

10m進んでは立ち止まり、またノロノロと動き出すの繰り返しである。


おかしい


脱水?



遙か彼方にくじゅう連山。眼下には湯布院の街並み。

絶景を楽しむべきポイントだ。

しかし私にはその余裕は無い。


ハヒーハヒー




何とかマタエまで登ってきた。

ここからの予定は、西峰と東峰二つの峰。


「大丈夫ね、ヒロちゃん。」

「だ、大丈夫。バッテン、ちこっと長めに休憩させて。」



休憩の間、水分とシリアルバーを口に放り込み、体力の回復に努める。


「ふー、そんじゃ、登りますか。」


とりあえず先に、本命の西峰に登る事にする。



鎖が始まった。

ところがこの後、ルートを間違え、とんでもない難所に紛れ込んでしまう。

先頭を行く私に、判断力がなくなっていたせいだ。

痩せた尾根を、岩に張り付くように渡り切り、何とか正規ルートに合流した。


残念ながらこの間の事は、余裕がなさ過ぎて、写真など一枚もない。



正規ルートから、行く手を確認する。




長い傾斜の鎖が垂直に替わり、続けて蟹の横ばいトラバース。

でもまあ、さっきの痩せ尾根に比べたらね。









横ばいの最中は、さすがに撮影は出来ない。

最後の段階だけ、

パシャリ



難所は過ぎた。

と、ここでは思ってた。



山頂方向を望む。




最後の鎖を登り切ると、山頂まではダラダラとした登りとなる。

だが、

この緩い登りこそが、鎖より何より、今の私にとって、最大の難所だった。

一歩踏み出すごとに太股にけいれんが走り、最後には、


「ぐあいたー!攣ったあ!!」


タイトルのクライシスとは、異常な体力消耗と、このこむら返りの事である。



這うようにして西峰到着。


ハヒーーー💦




私の微笑みが歪んでいるのは、決して気のせいではない。

なにはともあれ昼飯だ。

カップ麺をすすりながら、独立峰ならではの360度の展望を楽しもう。



西には野焼きの炎。

ズズズ



南はくじゅう連山。

モシャモシャ



東は鶴見岳に、




由布岳東峰だ。

ズルズル



そしてそして、あの忌々しい岩尾根だ。

モシャモシャ、ゴックン

ご馳走様でした。


そろそろ西峰を降りよう。



下りは登りより更に慎重に、



一歩一歩、手がかり足がかりをさぐって降りる。




痙攣もこむら返りも起こさず、何とかマタエまで降りてきた。

予定では、これから東峰だが、


「俺、もう足が限界。二人で行ってきて。」



ところが、二人が東峰の斜面にとり掛かってすぐ、長崎の義兄までこむら返り発症。

めでたくも、私の仲間入りである。

結局、東峰は断念。

下山の運びとなった。

そして私はと言えば、下山の途中で再度のこむら返り。


「イテテテ、グムムー。」


散々である。


登山口に無事に着いて、これほどホッとしたのも久しぶりだ。



「んじゃ、温泉に行こうかね。」(長兄)

「ハヒャイ」(私)





・・・もう少し続く

コメント一覧

minou_yamatai
ありがとうございます。
発症したのがいずれも、平坦な場所だったので幸いでした。
もしも痩せ尾根や鎖場だったら、滑落もあり得ましたから。
虫主婦
登山中にこむら返り!!!
それは痛いですよ!!
よくぞご無事で。
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