一年のアメリカ研修の最後に、カナダのトロントで開かれたAAS(Association for Asian Studies)の今年の大会に出席し、パネルを主宰した。
AASは、アメリカ最大の、中国などアジア研究の学会だ。毎年春に開かれる大会は、300あまりのパネルをはじめとする様々な活動が行われ、何千人もが参加する非常に大規模なものだ。若手の研究者にとっては、ここで認められることが一人前の証で、就職のためのインタビューの場でもあるという。
今年度の初めから、私達は「アジアの出産と社会」という共同研究を進めており、せっかくアメリカにいる機会にと、ここでその成果を発表することにした。英語圏の学会などあまり出たことのない私がいきなりパネルを組織するのは「大胆だ」と友人に「感心」されたが、この機会を逃したら今後こんなチャレンジができるとは思えない。ので無謀だと思いつつ、とにかくやってみることにした。申込みは、夏頃に、ウェブ上から(もちろん英語で)行う。報告者などを決め、レジュメを英語で書いてウェブでそれを送るまでが一苦労だった。それだけ手間をかけても審査で落とされることも珍しくないとか。しばらく待っていると、秋口にパネルが通ったという連絡が来た。こうなると本当にトロントまで出かけて英語でプレゼンテーションしなくてはならない。まあ研究の内容自体はかなりの水準だと思うし、何とかなるさ、と思っていたのは、まだ時間に余裕があったからだ。
ところが、秋も深まった頃、突然事務局からメールが来て、私たちのパネルがF.Hilary Conroy Prizeというアジアからの参加を奨励する意味を込めた賞を受賞することになったという。名誉なことだと嬉しく思う反面、どうしよう、こっそりパネルをやって自己満足するだけでは済まないようだ、と内心慌てた。いずれにしろ、頑張っていいパネルにするしかない。
年明けの一時帰国中に打ち合わせをし、2月にはいるといよいよ英語のプレゼンテーションの準備にかかる。私は最初に10分間の趣旨説明を分担する。その後4人の研究発表(各15分)、2人のコメント(各10分)と、トロントへ行く7人の共同研究者が全員登場する忙しいパネルの構成になった。
私の書いたつたない英語の原稿を、旧知のアメリカ人研究者の友人が修正してくれたら、非常に拡張高い文章になった。読む練習をしてみたが、英語が上手く発音できず、つっかえながらしか読めない。日本語で10分の内容の英語を読むのに20分近くかかる。読む練習と同時に、原稿を削って、10分で納まるようにしないと。英語の個人レッスンの先生のCarolに発音を見てもらい、毎朝の散歩中に丘の上のベンチで声を出して読む練習を重ねた。読みやすいように原稿を修正すると、格調高かった英語が平板になってしまうのは悲しかったが、とにかくなんとか10分以内で話せるようにして、トロントへ向かった。
AASは、アメリカ最大の、中国などアジア研究の学会だ。毎年春に開かれる大会は、300あまりのパネルをはじめとする様々な活動が行われ、何千人もが参加する非常に大規模なものだ。若手の研究者にとっては、ここで認められることが一人前の証で、就職のためのインタビューの場でもあるという。
今年度の初めから、私達は「アジアの出産と社会」という共同研究を進めており、せっかくアメリカにいる機会にと、ここでその成果を発表することにした。英語圏の学会などあまり出たことのない私がいきなりパネルを組織するのは「大胆だ」と友人に「感心」されたが、この機会を逃したら今後こんなチャレンジができるとは思えない。ので無謀だと思いつつ、とにかくやってみることにした。申込みは、夏頃に、ウェブ上から(もちろん英語で)行う。報告者などを決め、レジュメを英語で書いてウェブでそれを送るまでが一苦労だった。それだけ手間をかけても審査で落とされることも珍しくないとか。しばらく待っていると、秋口にパネルが通ったという連絡が来た。こうなると本当にトロントまで出かけて英語でプレゼンテーションしなくてはならない。まあ研究の内容自体はかなりの水準だと思うし、何とかなるさ、と思っていたのは、まだ時間に余裕があったからだ。
ところが、秋も深まった頃、突然事務局からメールが来て、私たちのパネルがF.Hilary Conroy Prizeというアジアからの参加を奨励する意味を込めた賞を受賞することになったという。名誉なことだと嬉しく思う反面、どうしよう、こっそりパネルをやって自己満足するだけでは済まないようだ、と内心慌てた。いずれにしろ、頑張っていいパネルにするしかない。
年明けの一時帰国中に打ち合わせをし、2月にはいるといよいよ英語のプレゼンテーションの準備にかかる。私は最初に10分間の趣旨説明を分担する。その後4人の研究発表(各15分)、2人のコメント(各10分)と、トロントへ行く7人の共同研究者が全員登場する忙しいパネルの構成になった。
私の書いたつたない英語の原稿を、旧知のアメリカ人研究者の友人が修正してくれたら、非常に拡張高い文章になった。読む練習をしてみたが、英語が上手く発音できず、つっかえながらしか読めない。日本語で10分の内容の英語を読むのに20分近くかかる。読む練習と同時に、原稿を削って、10分で納まるようにしないと。英語の個人レッスンの先生のCarolに発音を見てもらい、毎朝の散歩中に丘の上のベンチで声を出して読む練習を重ねた。読みやすいように原稿を修正すると、格調高かった英語が平板になってしまうのは悲しかったが、とにかくなんとか10分以内で話せるようにして、トロントへ向かった。