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最終日の日曜の午前は、いよいよ私たちのパネルだ。このパネルは共同研究を基盤にした「20世紀後半のアジアにおける家族計画の比較研究-リプロダクティブ・ヘルス&ライツに注目して」というものだ。
前日は大人数でにぎわってた大会だが、最終の日曜日はもう皆引き上げかけていてどのパネルもやや閑散としている。私たちは昨日、部屋でパソコンをプロジェクタにつなぐテストも終え、全員でリハーサルも済ませて、万全の準備で臨む。
聴衆は数はそんなには多くないものの、始まる前から会場で待っていて下さる熱心な方も何人かいて、雰囲気は悪くない。
いよいよ開始。私のプレゼンテーション(趣旨説明)は、そんなに詰まることもなく、まずまずうまくいった。続く報告とコメントの間、私は時間管理をしながら会場の様子を確認。皆あまり延びることもなく、ほぼ順調に進行している。最初から熱心に聞いているあの方はだれだろう、ひょっとしてFirth氏ではないだろうか(彼女の主著は宋代の伝統医学における産科学のコスモロジーに関するものだ)・・・と考えていたら、やっぱりFirth氏で、ネパールの女性の避妊を主体的にぶりコラージュする実践について質問があった(英語のできない私でも、こういう時は何を言っているかわかる)。旧知の上海の研究者、Jiang Jin華東師範大学教授も来てくれて、Firth教授の質問の背景を解説する発言をしてくれた。著書を拝読して敬服していたFirth氏(しかも今年は時の人!)が、プログラムを見て来場し、私たちの研究の意図するところを良く理解して発言してくれたことに感激し、パネルをやって良かった、としみじみ思った。
終了後、共同研究の仲間達と近くのレストランで昼食を取って打ち上げをした。
その後、ヨーク大のF教授・J教授夫妻が、出発までの時間をお宅に招いて下さったのにおじゃまする。ドイツやイギリスからの研究者と談笑しながら、Jさん手作りのサーモン料理を何種類もいただいてカナダの味覚を堪能。前に会った時は幼児だった娘さん達はもうティーンエイジャーになっていた。
夕方、空港に向かい、深夜にカリフォルニアの家に帰着。風邪が残っているようで身体は疲れているが、充実した一日だった。
今回のAASでは、英語が出来なくても、とにかくチャレンジしてみると世界は広がる、と実感した。次は、趣旨説明だけでなく自分の研究発表もしてみたい。英語ももっとレベルアップしよう。