元気なシニアのスマホ使用実態
インターネットはもはや私たちの生活になくてはならないインフラとなっている。事実、13歳から69歳までの全世代で、利用率は90%を既に越えるようになっている(情報通信白書、令和2年版)。使用されているインターネット利用端末は、スマホが最も多く、次いでパソコン、タブレットとなっている。
例えば今年大学に入学した学生は、小学校1年生の時にiPhoneの日本発売が始まったのであり、物心ついた時からデジタル機器に接して成長してきている。まさにデジタルネイティブであり、生活のすべてに「デジタル」が染みついている。
一方シニアはどうであろうか。実は、シニア層でのインターネット利用も着実に増えている。70~79歳までの利用率は、2019年に74%に達し、80歳以上でも57%となっている。これを見ると団塊の世代はかなりインターネットの利用が進んでいるとみられる。確かに筆者の知り合いの70代シニアは、それなりにスマホやPCをある程度使いこなしているようだ。
全体的には、75歳を越える後期高齢者になるぐらいから、IADL(手段的日常生活動作)の減退が見られ、だんだん面倒になってしまい、インターネットを使用しなくなってしまうことは肯ける傾向ではある。その意味で、75歳未満の元気なシニアは、それなりにインターネットやスマホを使いこなしているとみて良さそうだ。
しかし70歳以上のシニアが、例えばスマホで何をしているのかを調べた調査はあまりなく、その実態はなかなか分かりにくい。例外的に国の調べた調査で、SNSの利用状況では、70歳以上、80歳以上のいずれの世代でも40%を越える利用状況になっている。特に80歳以上の利用状況は、筆者的にとっては、にわかには信じがたい数字ではある。
「シニアの生活意識調査2021(ソニー生命)」では、シニアのスマホ使用実態を調査している。ただしこの調査は、回答者は50~70歳代の男女で、半数は50歳台となっているので、注意が必要となっている。
この調査によると、スマホでおこなっていることの第1位は、「通話」と「メール」で70%を越えている。次いで、「インターネット検索」、「ニュース閲覧」、「天気予報チェック」でいずれも50%以上である。この後に「メッセージアプリ」、「写真撮影」、「地図を見る」、「電卓」、「時間確認」と続いていく。SNSは、全体では約49%であるが、女性の利用割合が56%と有意に高く、電話・メールに次ぐ利用になっている。また、写真撮影や電卓・時間確認も、女性の方が使用割合は高くなっている。女性の方がスマホを使いこなしているのかもしれない。
こうしてみると、電話・メール・SNSという連絡手段の使用が中心となっていることが浮かび上がってくる。またスマホで基本的に装備されているオーソドックスなアプリの利用頻度が高いことが伺える。若者世代のスマホの使い方とは、性格的に異なる傾向にあることは間違いない様だ。
今後もシニア世代のインターネット利用、そしてスマホ利用が広がっていく中で、こうした人たちにフィットしたアプリや使用方法も、広がり作っていく必要がありそうだ。