お母さんは、どこ？

最近のカンちゃんのお母さんは、ほとんど家に居ない。

と言っても、外出している訳ではありません。

大好きなクレマチスの花が咲き出して、庭で一人、物思いに耽っているのです。


お母さんは、今日も庭のクレマチスに夢中。
そして、家のことは人任せ・・・。


お散歩の時間になって慌てていたカンちゃんのお姉さんは、「お母さん手伝って！」と言いました。

けれど、応答はありません。

お父さんに「また庭じゃないか？」と言われ、「それもそうだ」と納得するお姉さん。



だけど、その時、カンちゃんのお姉さんは聞いたのです。

（お母さん、お母さん、お姉さんが呼んでいるけどいいの？）と言うカンちゃんの声を！

「お母さんは、絶対に家の中に居るよ！だって、カンちゃんが言っているもの」とお姉さんが言うと、お父さんが隣の部屋を見に行きます。


すると・・・・・


やはり、お母さんは隣の部屋に居たのです。

小さなカンちゃん家の中で声が聞こえない訳がないのに、ご丁寧に狸寝入りをして、聞こえない振りをしていました。


正直者で嘘がつけないカンちゃん。

そして、お姉さんは少々犬語が分かる。


お母さんのやることは全てお見通しなのに、いつも姑息なことをするんだから…。


そもそも、お母さんが作ると言って沢山貰ってきた甘夏が傷みかけてきたから、仕方なくマーマレード作りをして忙しいのに、マーマレード作りをする度に途中で消えるカンちゃんのお母さん。

話を聞くだけなら楽しいのだけど、一緒に暮らすのは大変です。