オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

古今名婦伝 「清少納言」

2018-05-02 | 豊国錦絵

清少納言(せいしょうなごん)は平安時代中期の女流文学者・歌人 

康保3年(966)頃万寿2年(1025)頃

 

文久3年(1863)出版  歌川豊国(国貞)絵

 

清少納言は肥後守清原元輔(きよはらのもとすけ)の娘にて

一条天皇の皇后に宮仕えし、時の博士にも口開かせぬ才女であった

和歌をよく読み文章もっとも自在の筆へとなる或年の冬

雪が高く降り積もった朝 皇后定子(ていし)がおっしゃられ

少納言よ香炉峯(こうろほう)の雪はどうだろか と問われると

さっと立って御格子を上げさせ翠簾(みす)を高く巻上げれば

頷き笑われその当意即妙を感じ会うそれは

白楽天の詩に香爐峰の雪は簾を撥げて観るとある意えで

禅家の問答のように 才機満ちたる者ならではなし難く

この婦人の作枕冊子(枕草子)の一書は当時の世の態を尽くして

紫文(源氏物語)の絶妙に準じている

     柳亭種彦記


崑山集に 『雪の花も今朝は匂うや香炉峯』