小野小町(おののこまち)は平安時代前期の女流歌人
生没年未詳
美貌の歌人といわれて多くの伝説がある
安政6年(1859)出版 歌川豊国(国貞)絵
小野小町は出羽の郡司の娘とも小野好實(おののよしざね)の猶子ともいう
和歌は衣通姫(そとおりひめ)の流れを汲んでその頃の歌風である
ある時内裏・清涼殿の歌合せで大伴黒主と競うことになり
まかなくに の歌を披露した。
それを聞いていた黒主はこの歌は万葉の古歌であると言い
前夜に盗み聞きし書き加えていた万葉の双紙を差し出すと
小町は少し動揺するが 黒主の出した双紙を見ると行も乱れ
墨つぎも違うので この双紙を洗ってみたいと帝(みかど)に願い出
御前にて双紙を洗うと黒主が書き足した歌は消え
小町の歌は古歌ではないことが証明される
これを世に双紙洗いと言う
梅華山人記
まかなくに なにを種とて 浮草の 波のうねうね おい茂るらん
(若草は誰も蒔きはしないのに 何を種としてこのように 波の畝に生い茂るのであろう)