オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

古今名婦伝 「小野小町」

2018-05-07 | 豊国錦絵

小野小町(おののこまち)は平安時代前期の女流歌人 

生没年未詳

美貌の歌人といわれて多くの伝説がある

安政6年(1859)出版  歌川豊国(国貞)絵

 

小野小町は出羽の郡司の娘とも小野好實(おののよしざね)の猶子ともいう

和歌は衣通姫(そとおりひめ)の流れを汲んでその頃の歌風である

ある時内裏・清涼殿の歌合せで大伴黒主と競うことになり 

まかなくに の歌を披露した。

それを聞いていた黒主はこの歌は万葉の古歌であると言い

前夜に盗み聞きし書き加えていた万葉の双紙を差し出すと

小町は少し動揺するが 黒主の出した双紙を見ると行も乱れ

墨つぎも違うので この双紙を洗ってみたいと帝(みかど)に願い出

御前にて双紙を洗うと黒主が書き足した歌は消え

小町の歌は古歌ではないことが証明される

これを世に双紙洗いと言う

梅華山人記


まかなくに なにを種とて 浮草の 波のうねうね おい茂るらん

(若草は誰も蒔きはしないのに 何を種としてこのように 波の畝に生い茂るのであろう)