オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

古今名婦伝 「松浦佐用姫」

2018-05-27 | 豊国錦絵

松浦佐用姫(まつらさよひめ)は古事記に登場する女性

生没年未詳

文久2年(1862)出版  歌川豊国(国貞)絵

 

播磨の国佐用郡(さよこおり)に美貌處女(かおよきおとめ)がいた

朝廷の命を受け百済救援を命じられこの地にやって来た

大伴狭手彦(おおとものさでひこ)が召して交歓(かたらい)し

一夜の情に百年(ももとせ)の命を祈り慕い狭手彦を見送る佐用姫

松浦の海を漕ぎ去る船を遥かに望(みやり)て喚べど叫べど

鼓涛(うつなみ)のほかには応える物もなく

ついに哭死(なきじに)したりしとなったその志哀れむべし

彼の時姫が登りし山を領巾麾之嶺(ひれふるのだけ)と名づけ

佐用姫を神と祭り今彼の山に叢祠(そうし)があって

石に化けしと云い伝わる

ある信じられぬ妄談あり人の形皃(かたち)に似ている

石はあるがいい加減なことをいっては失礼であろう

       (柳亭種彦記)