白菊姫(しらきくひめ)は鎌倉時代の女性【伝説上】
生没年未詳
元治1年(1864)出版 歌川豊国(国貞)絵
白菊姫は遠州菊川の里 愛宕の荘司の女(むすめ)で
世に希なる美人なり
後宇多天皇の建治年中この山奥に悪鬼が出没し
ところの者を悩ました
上杉三位景定(うえすぎさんみかげさだ)卿は鬼賊退治に下向し
莊司の家に滞在し 白菊姫を寝所に迎えた
その後三位は鬼を射殺し既に帰洛の時に臨み
迎えが来た時に守り袋の観音像を形見に与え
泣く泣く別れの日となった
姫の継母は姫が幸せを得たのを妬み 夫に告げ口し
悪名をつけて無慙にも簀巻にして桜ヶ淵に投げ込んだ
然るに 観音菩薩の功力により命は助かり
都を目指して行き 近江國月の輪にて三位殿に再会し
遂に北の御方(正妻)になれたことを風の噂に聞いた
(柳亭種彦記)
毛吹草より
『身をなせば 様(?)つきぬくし 菊の淵』 昌意