オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

新形三十六怪撰より 「皿やしき於菊乃霊」

2017-07-26 | 新形三十六怪撰

最近では取り上げられることのなくなったホラーの古典から

「番町皿屋敷」

大蘇芳年画

 

あらすじ

江戸牛込御門内五番町にかつて火付盗賊改・青山播磨守主膳の屋敷がありました。

ここに菊という下女が奉公していましたが、承応二年(1653年)の正月に

菊は主膳が大事にしていた皿十枚のうち一枚を誤って割ってしまいます。

怒った奥方は菊を責めますが、主膳はそれでも生ぬるいと、皿一枚の代わりにと

菊の中指を切り落とし、手打ちにするといって一室に監禁してしまいました。

菊は縄付きのまま部屋を抜け出して裏の古井戸に身を投げます。

 

まもなく夜ごとに井戸の底から「一つ... 二つ...」と皿を数える女の声が

屋敷中に響き渡ることに。 この噂は広がり公儀の耳にも入り

主膳は所領を没収されることになります。 

しかし、その後もなお屋敷内で皿数えの声が続くというので

公儀は小石川伝通院の了誉上人に鎮魂の読経を依頼します。

 

ある夜、上人が読経しているところに皿を数える声が。

「八つ... 九つ...」 そこですかさず上人は「十」と付け加えると

菊の亡霊は「あらうれしや」と言って消え失せたという。

 

ウィキペディアより

 

最後はともかくとして、お菊が皿を数える話は忘れることはありませんね。

 


月百姿 四條納涼

2017-07-25 | 月百姿

月岡芳年 月百姿

『四條納涼』

明治十八年届

 

京都鴨川の納涼床

その始まりは江戸時代初期、四條大橋のあたりで行われた

「四條河原の夕涼み」に遡る

 

国立国会図書館デジタルコレクション 091

 

今回の絵に関しては”四條河原で涼む芸妓” の情報しか見当らず

花火をDLしてきました。

 

 

 


都幾百姿 千代能かいたゝく桶の・・・

2017-07-24 | 月百姿

月岡芳年 月百姿

『千代能かいたゝく桶の底ぬけて ミつたまらねハ月もやとらす』

現代仮名: 『千代能がいただく桶の底ぬけて 水たまらねば月も宿らず』

明治二十二年印刷

 

安達千代野(あだちちよの)は鎌倉時代中期の御家人安達泰盛の娘

生没年未詳

北条顕時の正室 千代能とも。

 

国立国会図書館デジタルコレクション 029

 

千代能は、夫北条顕時が霜月騒動で

連座失脚したため 世を儚み出家します。

 

千代能は桶の水に映っている月を見ていて

どうすれば美しく映し出されるものかと

そう考えていたある夜、突然桶のたががはずれ

桶の水はいっきに流れ落ち

月の影は消えた

そして見上げると そこには本物の月があった。

 


月百姿 きぬたの月

2017-07-22 | 月百姿

月岡芳年 月百姿

『きぬ多能月』 夕霧

明治二十三年印刷

 

砧(きぬた)とは衣板(きぬいた)の意味で

当時は麻や楮(こうぞ)で織った着物は洗うと固くなってしまうので

皺を伸ばして光沢を出す為に 木槌を使って打ちほぐしていた。

 

国立国会図書館デジタルコレクション 042

 

能 『砧』より

筑前国芦屋の何某(なにがし)が訴え事のため上洛してはや三年

妻のもとへ侍女の夕霧を帰します。

夫の薄情を恨む妻は我が身の不幸を嘆き

折しも聞える砧を打つ音に 蘇武の故事を思い起し

夕霧とともに砧を打ちます。

『思ひをの述ぶる便りとぞ 恨みの砧 打つとかや』

夜更けて月冴え 砧の音に虫の音も交じり、涙を落とす妻

 

 こうしてしばらく経ったある日のこと

今年の秋にも帰らぬという知らせに

妻は絶望の余り病に伏してついには亡くなる。

国へ帰った夫は 梓の弓により妻の霊魂を招き言葉を交わします

妻の亡霊は、生前の妄執で地獄の苦しみをうけている様を語り

夫の不実を恨みますが、夫が法華経を読誦した功徳により

亡霊の恨みは静まり成仏するのでした。