オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

古今名婦伝 「白菊姫」

2018-05-25 | 豊国錦絵

白菊姫(しらきくひめ)は鎌倉時代の女性【伝説上】

生没年未詳

元治1年(1864)出版  歌川豊国(国貞)絵

 

白菊姫は遠州菊川の里 愛宕の荘司の女(むすめ)で 

世に希なる美人なり

後宇多天皇の建治年中この山奥に悪鬼が出没し

ところの者を悩ました

上杉三位景定(うえすぎさんみかげさだ)卿は鬼賊退治に下向し

莊司の家に滞在し 白菊姫を寝所に迎えた

その後三位は鬼を射殺し既に帰洛の時に臨み

迎えが来た時に守り袋の観音像を形見に与え

泣く泣く別れの日となった

姫の継母は姫が幸せを得たのを妬み 夫に告げ口し

悪名をつけて無慙にも簀巻にして桜ヶ淵に投げ込んだ

然るに 観音菩薩の功力により命は助かり

都を目指して行き 近江國月の輪にて三位殿に再会し

遂に北の御方(正妻)になれたことを風の噂に聞いた

        (柳亭種彦記)

 

毛吹草より

『身をなせば 様(?)つきぬくし 菊の淵』  昌意