春休みのデッサン室

春休みのだれもいないデッサン室。
ぼんやりしながら北九州のあれこれ、デッサンしてみましょう…

阿修羅の三つの顔

2009年08月24日 | こころにビタミン
ご無沙汰しています。
パソコンは思いのほか早く退院してきましたが、仕事の方が忙しく、ブログどころではありませんでした。

そんなワケで、私の北九州ブランドのご紹介も仕事の合間の取材中のため、もうちょい時間がかかりそうです。

そんでもって、今回はいま九州国立博物館で開催されている阿修羅展の阿修羅についての「うんちく」をひとつ。
「うんちく」と言っても、高校時代の美術の先生に授業で教わったことですが、阿修羅像の三つの顔についてです。

ご存知のとおり阿修羅には三面の顔がありますね。
阿修羅は元々、異教の神様でした。
激しく荒々しい悪神、外道で容貌も醜く恐ろしかったらしい。そんでもって、仏教と長く激しい争いをしたということです。
広目天像とか多聞天像とか聞いたことありませんか。
これらは天部といって如来様とか菩薩様を守る神様ですが、阿修羅はこの天部の帝釈天と「修羅場」といわれる凄惨な激しい戦いを繰り広げてきたわけです。
阿修羅はこの戦いにどうしても勝てず、遂には仏の教えに目覚め心を開いて行くわけなのです。

我が恩師の話です。
三つの顔の側面の一つは仏の力、教えにまだ納得いかない、悔しい、激しいものを潜めた顔である。
もう一つは徐々に仏に心を開きながらもともすればまだ迷い・悩みがあり、半信半疑の思いが伺える表情である。
正面の顔はこんな迷い、恨みの思いから目覚め、まっすぐに仏の道を見つめ進んでいく表情なのだ、と教わりました。
すなわち、三つの顔に心の目覚めて行く推移を表しているということです。

悟りを開いたであろう正面の表情は、穏やかで清らかで柔和な表情をしています…でしょうか?
いいえ、決して無垢な表情ではありませんね。
仏の道に目覚め、まっすぐにみつめながらも、昔の表情を秘めている。浄化されきれていない微妙な心の内面を見事に表しているのです。
これが興福寺の阿修羅像の魅力です。
時空を超え、万人の心に響く芸術的な価値があります。人間的な共感をも覚えるのです。
こんな阿修羅像は私がもっとも好きな仏像なのです。

前述の通り、九州国立博物館で阿修羅展が開催されています。ぜひ、この阿修羅の表情をじっくり見ていただきたい。
私も行きます。
阿修羅像の「おっかけ」もいるようです。それこそ「アシュラ~」でしょうか。
会場の阿修羅像の前から動かないそうで、適当に警備員さんが移動させるそうです。すごいですね。

ただ私は、過去に奈良で何度もじっくり見ました。
当時、興福寺の宝物館ではガラスのケースに入っていて、三面の表情を見ることができました。

今回の九州国立博物館もいいですが、できれば奈良まで行っていただきたいです。
興福寺だけでも天燈鬼や竜燈鬼無著・世親の像などをはじめとする有名で素晴らしい仏像がいっぱいあります。
外国旅行するくらいならもっと奈良や京都をじっくり回っていただきたいですね。

こんな阿修羅を気に入ってくれた方、よろしければクリック願います。
人気ブログランキングへ


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (tantan)
2011-07-22 01:04:03
ブログに阿修羅をリンクさせた内容を載せたくて、調べました。自分では感覚でしか知らないうろ覚えでしたから。見事、納得の行く回答を得られました!ありがとうございます
返信する
tantanさん、お役に立てたのならよかった (春休みのデッサン室)
2011-07-22 11:42:22
tantanさんのお役に立てたのなら
こちらも幸いです。

仏像に興味がおありのようですね。
また仏像ネタなどご披露しましょう。
返信する

コメントを投稿