ボリショイ劇場 & シドニ-オペラハウス観劇記

元モスクワ、現在シドニ-赴任の元商社マンによるボリショイ劇場やシドニ-オペラハウスなどのバレエ、オペラ観劇記です

愛の伝説ー2-

2007年03月27日 | Weblog
この演目は1978年にボリショイの日本公演で上演されたようですのでその際にご覧になった方もいらっしゃるのではとも思いますが最近は余り上演されていないようですので参考までに
あらすじ
 
第一幕 (第一場)
破壊的とも感じる音楽で幕が開くと暗い部屋の中央の扉から白いターバンを巻いた召使と思しき集団、その中央には黄色いマントに黒い服のVizier.6人の女達の中央に女王バヌーが頭を抱えてその後ろのベットには妹シリン姫が死の床についている。シプリナは王冠の上に2つの黒い羽をつけている。男達は胸を叩きながら困ったがどうしていいか判らないと言った風情の踊りでシプリナはこぶしを握り締め取り巻きの不甲斐なさに怒りを見せる。
そこに舞台右端に忽然と現れる全身薄緑色の放浪の回教托鉢僧。女王は妹を救う為に財産のみならず王冠を脱いで王位すら譲るという態度を示す。金銀財宝を渡すという表現は黄色の服に金色の小判と思しきものを全身に付け手にも持って踊る12人の娘達の黄金の踊りによって表現。中央に僧がいるが全く動じず。僧が鏡を持って女王にその美貌と引き換えにと迫り そのまじないによって妹が回復し他方女王は黒いケープをまとって顔の下半分を隠し醜い顔になったことを表現。命を助けられた妹が醜くなった姉の女王の顔を見て驚くのは何とも悲しい話。
 
(第二場)
画工フェルハードが舞台の奥で宮殿の壁の彩色、前の方では仲間4人が踊る。女王姉妹が大勢の取り巻きの兵隊の勇壮な行進。この辺りの兵隊の行進は同じくグレゴロービッチが振付けたスパルタカスを彷彿とさせる。
画工と女王姉妹は一目で惹かれあいみんながいなくなってから再びシリンとフェルハードは戻ってきて再会。二人で水をすくって飲むポーズ。
 
第二幕 (第三場)
赤い色合いの服で兵隊は統一。
両袖がものすごく長く又猫背のような服をまとった黒い服の道化6名とその中心に赤い服の道化が踊る。又宮廷の美しい娘達の踊り。その後赤い服の女王はフェルハードへの思いをソロの踊りで表現。
 
(第四場) シリンとフェルハードの二人の愛情を表現する絡み合いもつれ合う踊り。フェルハードが後ろ向きにえびぞりとなりそこにシリンが足を上げて抱きつくというポーズ。そしてついにはは宮殿より脱走。これを兵隊が集合し追跡。ここでシプリナは24回転ほど。舞台の全体を回って逃げる二人。この場面も可也迫力あり。見つかり激怒した女王はフェルハードに山を切り開いて水を導けば二人の仲を許すという無理難題を命ずる。
 
第三幕 (第五場)
ドラで幕開け。
手に壺を持った女性達が踊り水不足にあえいでいる事を示す。
 
(第六場) 山中のフェルハード。ペルシャ語らしき表示あり。青白い光の中 舞台右端で横たわると白いスカーフを持った薄青の衣装の乙女達そして最後にシリンが白い衣装で登場。フェルハードは夢の中でシリンに再会。
 
(第七場) 黒い服に赤いベールのバヌーが顔の覆いを取り元の美貌に戻ったことを幻想しフェルハードは王のような威厳のある衣装で赤いマントで登場し二人で踊る。幻想が消えた後シリンがフェルハードを助けるよう懇願し兵隊達と共に山へ行進。
 
(第八場)  フェルハードを男女の群集が水の期待で取り囲む。そこに兵隊と共に女王姉妹が到着し黒いマントに王冠の女王はフェルハードを許して白いマントのシリンと一緒になることを許す。フェルハードとシリンは愛と確かめる踊り。しかし最後は人民の為にこのトンネル堀りを続けることを決意し舞台中央のトンネルへ。
 
カテコ動画残り 
       3幕終了後  (兵隊、Vizier)  (ニーナ、シプリナ) (フェルハード)  (花束) (花束を置いて)   (幕前シプリナ)
 
       シプリナもカプソワも何時にも増して可也の花束を貰っています。
 
 


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4 コメント

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「愛の伝説」 ((やわかつま))
2007-04-04 03:09:23
同じくバレエ漫画「スワン」(有吉京子さん作)の中からの抜粋です。

「愛の伝説」
全3幕 全8場 1961年キーロフ劇場初演
女王メフメネ・パヌは自分の命を美貌を犠牲にして命を助けた最愛の妹と、ひとりの男性を争うことになる。

画工フェルハドは妹シリンを愛したために女王の怒りに触れ、水路をせきとめている山を切り開けと、不可能ともいえる難事業を命ぜられる。

だが、今は女王の怒りもとけ、二人は幸せになるが、フェルハドの心はシリンの哀願にもかかわらず、民衆のために、ひとり開拓に生涯をささげようと決心するのです。

このシーンは、2幕2場のシリンとフェルハドのアダージョをコンクールで踊る場面で出てきます。

「スワン」は少女漫画ですが、1976年から連載されたバレエ漫画で、ボリショイや当時のソ連の状況なども、描かれています。
主人公は日本人で、ボリショイで踊る経験をしたり、その後、ニューヨーク・シティ・バレエでバランシンの指導を受けたりと、だんだんに成長していく話です。文庫本にすると、全14巻。

最近は、スワン・マガジンという雑誌が発行され、その子供のまいあが、パリ・オペラ座学校に入る漫画「まいあ」が連載されています。


新書館のダンスマガジンは、5月号に「グリゴローヴィチ」特集が組まれています。
80歳になった記念祭の模様と、作品一覧・過去の舞台写真・日本で今見ることの出来る、DVDの紹介などですが掲載されています。

入手困難でしたら、主人にメールして下さい。


ボリショイは、招聘元がNBSからジャパン・アーツに変更したため、8月下旬には、マリインスキー&ボリショイの若手ダンサーによる、ガラコンサートが出来るようになりました。史上初とのことです。
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愛の伝説 (管理人)
2007-04-04 03:21:28
やわかつまさん
コメント大変ありがとうございました。
勝手ですが愛の伝説のことを詳しくコメントいただいたのでこちらに転記させてもらいました。
当方ブログに記載したあらすじとスワンの中の説明は一致していますね。当たり前ですが。
二幕2場とはシリンとフェルハードの二人の愛情を表現する絡み合いもつれ合う可也高度な技術が必要と思われるアダージヨですからコンクールで踊る演目として相応しいでしょう。
返信する
愛の伝説、補足資料 (Nana)
2007-04-06 02:20:52
*一応、99年ボリショイバレエ日本公演のガラで、「行進の踊り」だったか部分の群舞シーンを上演。メフメネ・バヌ:ステパネンコ、シリン:インナ・ペトロワ。
(振り付けを見るのが好きな知人が「やっぱり、グレゴローヴィチ振付は面白いね」と言っていました。)

*90年代初め頃、NHK「ボリショイバレエの精髄」でボリショイでの全幕、テレビ放映。
シリン:美人プリマのミハリチェンコ、
フェルハド:ムハメドフ

にもかかわらず、この二人踊りこみが足りなかったようで、彼らにしては情感が今ひとつの舞台。

これよりも、マリインスキーのプリマが踊る映像を当方2,3見た記憶があるのですが、そっちのほうがよっぽど思いがこもっていて見がいがありました。

NHK衛星第二クラシックロイヤルシートでテレビ放映されたものが、DVDが出ているようなのですが、この中にあるかも。うろおぼえですが、ユリア・マハリナあたりのであったかもしれません。

他にもルパートキナも踊ってた映像がどこかにあったかも。

写真でグラチョーワのメフメネ・バヌも見ましたが、顔に手を近づけ、美貌が失われたことを嘆くような表情だけでも、じわっとくるものがありました。

他にもガラコンでメフメネ・バヌとフェルハドのアダージョをキーロフのプリマで見たことがあり、彼らにとっては「モダンバレエ」で、古典の時より感情を凄く出して踊っているのが印象的でした。

ストーリー読むだけではフェルハードの最後の心の変化など、よくわからないところもありますが、ロシアの人には思い入れをもって踊れる作品なのかなと、マリインスキーのプリマたちのありかたを見ながら想像しています。

「愛の伝説」というタイトルにしては、最後が愛だけじゃないというか、フェルハードが社会性に目ざめて、(表面的には)男女愛よりも別のことを選ぶような結末が、バレエでは珍しいストーリーのように思ったのですが。

ロシア人がそういうつもりで演じてるのかどうか知りませんが、現実にはこういうことってあるなと思ったりしました。愛を第一義として考えたいけど、実際には別のことを優先してたりとか。(作品は、一人の男性の人間的成長を描いてるのかなと思うけど)

やわかつまさんが紹介されている「スワン」ではヒロインが、シリンが大恩ある姉と男性を争う心理について理解できなくて悩んだ時、「人に譲れる恋は本物ではないんだ」とサジェストされて自分の役の解釈を決めるシーンが出てくるのですが、これは漫画作家の独創だから、ロシアの芸術家たちにとって、姉妹の相克をどう感じるのかはわかりませんが。

シプリナの脚の件、モダンバレエと古典を交互に踊ると、古典だけの時と身体の使い方が違うので、時として怪我とか出易いみたいですね。古典もモダンもコンテンポラリーも交互に踊ってるパリ・オペラ座バレエ団に昔から本番中に故障発生等の話が比較的多かったのも、その辺が原因じゃないかと考えています。そんなわけで15回転でやめてよかったです。フェッテといえばプリセツカヤなど、32回転で転倒して以来踊らなかったと聞いたことがありますが。

蛇足ですが、バレエ漫画「スワン」には、スパルタクスが鎖で両手を繋がれた主人公が解放を求めるイメージが出てきますが、これも「スパルタクス」の重要なキーですが、日本の批評でこのイメージのことを論評したものを私は見たことがなかったです。あの辺のバレエ漫画の作者はどこでああいう知識を学んだのかなと思いました。(半面、バランシンについて、「音楽を表現することのみを重視し、感情を無視している」のような間違った理解も出てきますが、時代が古いので仕方ありませんね)

アラーシュはどんなメフメネ・バヌを踊ったのでしょうね。
フェルハド役は、リフトがわりと出てくるので、この男性舞踊家はリフトが強いのかなと思います。この画像では悪からぬ写りですが、舞台で見ると地味でしたか。グリゴロ振り付けは組んずほぐれつ、そこまでやるかと思うようなめんどくさそうなのがよく出てきますね。(男は大変そうだ)

以上雑駁ですが。
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さすが (管理人)
2007-04-06 04:54:06
NANAさん
細かい補足資料大変ありがとうございます。
なお大臣役がシプリナをリフトしそこなったとの指摘がボリショイ通からありました。なんかもたもたしているなと感じたのですがそんな振付かと見過ごしたのですがリフトミスだったのですね。
アラーシュのメフメネはドイツに行っていて見過ごしてます。残念。
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