レミ講座詳細レポートの続きです。
長いです。
事前に「動きやすい服装で」という指示があったので、シャツとカーゴパンツにトリコロールのリストバンドという出で立ちで参加してました。
時代に合わせて時計も懐中時計。ではなく、ペンダント型の時計。
さあいよいよワークショップ!
……昔密かに舞台に立つことを夢にしていたので、これが一番の目的だったんだよね。
まずは一般参加者席から前の方、舞台に見立てた空間に移動。
垣ヶ原さんから「座って下さい」との指示があり、周りの人にぶつからないような位置に座る。
次に垣ヶ原さんから「どんなベガーを演じるか」ということについてたくさん質問をされた。
年齢・性別・出身地・家族構成・身体的特徴・文字は読めるか・家の有無などなど……。
これらの回答は口頭ではなく、自分の頭の中に刻み込みます。
こうしてできた『役』を演じるというわけだ。
私は左足が動かなくて左耳もよく聞こえない少年、という設定。
当初大家族に生まれ(←『ブラッド・ブラザーズ』の影響)、足を怪我して父親に捨てられたことにしようとしたんだが、なんかしっくりこない。
そのほかの設定を考えてるうちに「あ、母子家庭で母親を亡くしたんだな」と思いついた。というか、その設定が向こうからやってきた。
こうして名無しの少年の出来上がり。
(この設定になった理由と、この『少年』が私にあとでいろいろ教えてくれたことはおまけで)
「その人物として立ってみて下さい」
の一言でワークショップスタート。
……リアルに両足で立てない。つーか、左足の感覚は皆無。重たい荷物を引きずって歩いてる感じ。2・3歩動いただけで右足が悲鳴を上げ、崩れるように座り込む。
動こうとしても左足が使えないから両手と右足で這うような状態に。
近くの人に挨拶するエチュードではおどおどした声になり、ようやく右足で立ったら今度は雨が降ってきたという設定に。感覚のない左足をかばいつつ、左手で錆びないように時計を握りしめる。屋根のあるところまで歩こうとしても歩けない……。
このときちらりと目が合った、一生懸命耳を澄ませている女性がいた。耳が聞こえない設定だったのかなあ?
ダメ出しを挟んで、次は仲の良い人と一緒になることに。
今度は歩けないと困るので、左足はちょっとだけ動く設定に変更。
で、仲の良い人といえば、と思って折井さんとうっちゃんさんを探す。が、折井さんは違う人のところへ走り、うっちゃんさんは見つからない。
途方に暮れたところでまた崩れ落ちる。
その時、誰かが近付いてきて「大丈夫かい?」と声をかけてくれました! 女性ですが、年齢はわからない。
私 「うん、大丈夫」
女性「ほら、捕まって」
私 「ありがとう……こっちの足がね、痛むんだ……」
女性「こっち側にお捕まりよ」
人の心の温かさに涙が出そうになりました。
そこにマリウス&アンジョルラス登場!
聞こえる方の耳(右)を傾けていたらいつの間にか自力で立てるようになり、さっきの心優しい女性と離れてしまった……。
名前はムリでも、せめてお顔だけでも拝見しとけば良かったなあ。
※この辺からは『少年』になりきっているので記憶が曖昧です。
確かここでダメ出し。
今度は「自分が持ってない物を持ってる人からそれを奪う人がいても良いですね」とのこと。
既に少年になっている私にそんな度胸はありませんがな。
で、動かない足をかばいつつ歩いていたら、なんとブリュジョン役の藤田光之さんとプルヴェール(このときはヒモ役)の上野聖太さんに絡まれた!
お二方とも時計が目当てだったようです。思いっきり
「これはダメだ! お母さんが遺してくれたんだ!!」
と抵抗し、上野さんに何か(なんだろう?)は奪われたけど時計は無事に死守。
ほっとしたらまた崩れ落ち、両手で体を支えて起きようとしたら誰かが肩に手を起きました。
斜め上を見上げると超美人が……! 神田沙也加さんだったと思います(少年になっていた私には『綺麗なひと』としか思えなかったので記憶が曖昧)。
が、私の瞳に何かを見つけたのか、怯えたような目をして走っていってしまった……。
「あの人なら、助けてくれると思ったのに……」
あれ、私泣いてる?
ここで『ベガーズ』を歌ったんだっけな?
この少年、ガヴローシュに憧れているんで右耳をそばだててガヴローシュを見つけようとして、
「ガヴローシュ! どこ?」
と不自由な足を引きずりながら探していたら、乞食婆役の井上珠美さん、娼婦役の藤咲みどりさん、ヒモ役の上野さんの掛け合いが始まる。
少年、ヒモが怖いので(冗談抜きで怖かった)逃げようと必死になるも、足に力が入らない。
「逃げなきゃ……助けて……」
両腕と右足で向きを変えたらなんとマテロット役の折井さんが走ってきて肩を抱いてくれた!
隣で「♪主よ どうぞ」と歌っていたのでそれに併せて必死に「♪どうぞ」と訴えかけました。今度こそ本気で泣いた……。
再びダメ出し。
これが最後で、『乞食たち』~『民衆の歌』続けることに。
今度はガヴローシュがそばを踊るような足取りで通り過ぎたので
「ガヴローシュ! 待って!」
と叫んだつもりが泣いているようなささやき声に。いや実際涙出てたけど。
乞食婆・娼婦・ヒモのやりとりから逃げようとしてもそこまで遠くに行けず、再びへたり込む。
歌声……?
マリウスとアンジョルラスでした。少年の目には王子と天使に見えたけどね。
やがて天使(アンジョルラス)が『民衆の歌』を歌い始め、私もその声に引き寄せられるように輪の方へ。
誰か女性(ジベロット役の深野琴美さんかなあ?)に左側を支えてもらいながら輪の中に行くと、1人の学生さんが肩を貸してくれました(あとでグランテール役の松村曜生さんと判明)。
少年「明日は……来るよね?」
学生「もちろん、来るさ」
また涙。
音程とかめちゃくちゃで、でも心の中は明るい希望に満たされて。
なんともいえない、不思議な一時だった。
辛くて苦しい。明日が見えない。
でもそこには優しい人がいる。
助けてくれた方々の手の、肩の、声の温かさを、私は忘れない。
ワークショップから見えてきたもの。
それは演じるということ、人と関わるということ、そして生きるということ――
今私が抱えている問題の【答え】の1つでした。
長いです。
事前に「動きやすい服装で」という指示があったので、シャツとカーゴパンツにトリコロールのリストバンドという出で立ちで参加してました。
時代に合わせて時計も懐中時計。ではなく、ペンダント型の時計。
さあいよいよワークショップ!
……昔密かに舞台に立つことを夢にしていたので、これが一番の目的だったんだよね。
まずは一般参加者席から前の方、舞台に見立てた空間に移動。
垣ヶ原さんから「座って下さい」との指示があり、周りの人にぶつからないような位置に座る。
次に垣ヶ原さんから「どんなベガーを演じるか」ということについてたくさん質問をされた。
年齢・性別・出身地・家族構成・身体的特徴・文字は読めるか・家の有無などなど……。
これらの回答は口頭ではなく、自分の頭の中に刻み込みます。
こうしてできた『役』を演じるというわけだ。
私は左足が動かなくて左耳もよく聞こえない少年、という設定。
当初大家族に生まれ(←『ブラッド・ブラザーズ』の影響)、足を怪我して父親に捨てられたことにしようとしたんだが、なんかしっくりこない。
そのほかの設定を考えてるうちに「あ、母子家庭で母親を亡くしたんだな」と思いついた。というか、その設定が向こうからやってきた。
こうして名無しの少年の出来上がり。
(この設定になった理由と、この『少年』が私にあとでいろいろ教えてくれたことはおまけで)
「その人物として立ってみて下さい」
の一言でワークショップスタート。
……リアルに両足で立てない。つーか、左足の感覚は皆無。重たい荷物を引きずって歩いてる感じ。2・3歩動いただけで右足が悲鳴を上げ、崩れるように座り込む。
動こうとしても左足が使えないから両手と右足で這うような状態に。
近くの人に挨拶するエチュードではおどおどした声になり、ようやく右足で立ったら今度は雨が降ってきたという設定に。感覚のない左足をかばいつつ、左手で錆びないように時計を握りしめる。屋根のあるところまで歩こうとしても歩けない……。
このときちらりと目が合った、一生懸命耳を澄ませている女性がいた。耳が聞こえない設定だったのかなあ?
ダメ出しを挟んで、次は仲の良い人と一緒になることに。
今度は歩けないと困るので、左足はちょっとだけ動く設定に変更。
で、仲の良い人といえば、と思って折井さんとうっちゃんさんを探す。が、折井さんは違う人のところへ走り、うっちゃんさんは見つからない。
途方に暮れたところでまた崩れ落ちる。
その時、誰かが近付いてきて「大丈夫かい?」と声をかけてくれました! 女性ですが、年齢はわからない。
私 「うん、大丈夫」
女性「ほら、捕まって」
私 「ありがとう……こっちの足がね、痛むんだ……」
女性「こっち側にお捕まりよ」
人の心の温かさに涙が出そうになりました。
そこにマリウス&アンジョルラス登場!
聞こえる方の耳(右)を傾けていたらいつの間にか自力で立てるようになり、さっきの心優しい女性と離れてしまった……。
名前はムリでも、せめてお顔だけでも拝見しとけば良かったなあ。
※この辺からは『少年』になりきっているので記憶が曖昧です。
確かここでダメ出し。
今度は「自分が持ってない物を持ってる人からそれを奪う人がいても良いですね」とのこと。
既に少年になっている私にそんな度胸はありませんがな。
で、動かない足をかばいつつ歩いていたら、なんとブリュジョン役の藤田光之さんとプルヴェール(このときはヒモ役)の上野聖太さんに絡まれた!
お二方とも時計が目当てだったようです。思いっきり
「これはダメだ! お母さんが遺してくれたんだ!!」
と抵抗し、上野さんに何か(なんだろう?)は奪われたけど時計は無事に死守。
ほっとしたらまた崩れ落ち、両手で体を支えて起きようとしたら誰かが肩に手を起きました。
斜め上を見上げると超美人が……! 神田沙也加さんだったと思います(少年になっていた私には『綺麗なひと』としか思えなかったので記憶が曖昧)。
が、私の瞳に何かを見つけたのか、怯えたような目をして走っていってしまった……。
「あの人なら、助けてくれると思ったのに……」
あれ、私泣いてる?
ここで『ベガーズ』を歌ったんだっけな?
この少年、ガヴローシュに憧れているんで右耳をそばだててガヴローシュを見つけようとして、
「ガヴローシュ! どこ?」
と不自由な足を引きずりながら探していたら、乞食婆役の井上珠美さん、娼婦役の藤咲みどりさん、ヒモ役の上野さんの掛け合いが始まる。
少年、ヒモが怖いので(冗談抜きで怖かった)逃げようと必死になるも、足に力が入らない。
「逃げなきゃ……助けて……」
両腕と右足で向きを変えたらなんとマテロット役の折井さんが走ってきて肩を抱いてくれた!
隣で「♪主よ どうぞ」と歌っていたのでそれに併せて必死に「♪どうぞ」と訴えかけました。今度こそ本気で泣いた……。
再びダメ出し。
これが最後で、『乞食たち』~『民衆の歌』続けることに。
今度はガヴローシュがそばを踊るような足取りで通り過ぎたので
「ガヴローシュ! 待って!」
と叫んだつもりが泣いているようなささやき声に。いや実際涙出てたけど。
乞食婆・娼婦・ヒモのやりとりから逃げようとしてもそこまで遠くに行けず、再びへたり込む。
歌声……?
マリウスとアンジョルラスでした。少年の目には王子と天使に見えたけどね。
やがて天使(アンジョルラス)が『民衆の歌』を歌い始め、私もその声に引き寄せられるように輪の方へ。
誰か女性(ジベロット役の深野琴美さんかなあ?)に左側を支えてもらいながら輪の中に行くと、1人の学生さんが肩を貸してくれました(あとでグランテール役の松村曜生さんと判明)。
少年「明日は……来るよね?」
学生「もちろん、来るさ」
また涙。
音程とかめちゃくちゃで、でも心の中は明るい希望に満たされて。
なんともいえない、不思議な一時だった。
辛くて苦しい。明日が見えない。
でもそこには優しい人がいる。
助けてくれた方々の手の、肩の、声の温かさを、私は忘れない。
ワークショップから見えてきたもの。
それは演じるということ、人と関わるということ、そして生きるということ――
今私が抱えている問題の【答え】の1つでした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます