Myselves

言葉と音楽に隠された魔法を探して放浪中。
そんな『自分自身』たちの旅の様子は?

「ジョンストンの双子の話は知ってるかい」

2009-09-28 23:37:11 | 舞台
9/12、『ブラッド・ブラザーズ』を観てきました!
って、もう千秋楽終わってるし!
まあとりあえず行こう。


当初は佐野とジャックと私の3人で行く予定が、ジャックが急遽体調不良のためキャンセルに。せっかく前から3列目(といっても下手の端)だったのにもったいない……。
本人が一番悔しかったと思うけどね。


今回はキャスト→ストーリーの順番ではなく、普通に感想を書いてみる。


とにかく藤岡正明さんと田代万理生さんが演じた7歳のミッキーとエディが自然だったなあと。もしかしてご本人達の兄弟構成も関係してる? 田代さんは実際に一人っ子だったらしい(プログラムより)が、藤岡さんも多分上にお兄さんかお姉さんがいたんだろうな、と思った。そのくらい普通だったんです。
リンダを演じた鈴木亜美さん、当初まったく期待してなかったんだが(むしろ不安だったが)、特に少女時代はまあ安心して観られたね。歌が少なかったからか?
個人的にヒットだったのは双子の実の母親・ジョンストン夫人役の金志賢さんとエディの育ての母親・久世星佳さん。なんというか、オーラがすごかった! さすが元四季と元宝塚!!
そしてもちろんナレーター役の下村尊則さん。役回りとしては四季在団中に演じていた夢の配達人と似たような役だけど、もっと……なんというか、本編に積極的に関わってくる。今回は歌もダンスも観られて良かった♪

この作品を観てミッキーに同情することは簡単だ。母親たちに責任があるというのも簡単だ。伊藤明賢さんが演じたサミーを悪者にするのも簡単段だ。
すべて「時代のせい」「階級のせい」ということも、難しくない。



だけど。



本当にそれだけ?



もし、ジョンストン夫人の立場だったらどうだろう? 貧しい上に子沢山。しかも夫はいない。常にお腹を空かせている子ども達を見て、「せめて1人だけでも豊かな暮らしをさせてあげたい」と思わないだろうか? そして「2人とも手元におきたい」と思うことは不自然だろうか?
ライオンズ夫人の立場だったらどうだろう? 子どもが欲しくてもできない。そんなときに子沢山の家に更に子どもが増えると知ったらどう思うだろう? 「どうして私には子どもができないの?」と思わないと言い切れるだろうか? 育てきれないなら自分が責任をもって育てあげようと考えることは自然なことじゃないだろうか?

ミッキーだったら? 一番の親友と最愛の女性(リンダ)が一緒にいると知って、しかもその親友もその女性を愛していると知っていたら? 貧しくて前科もち、その上リストラを宣告されたら? 「どうして僕じゃなかったんだ」と思わないだろうか?
エディだったら? 兄弟もいない、広い家で1人で育って寂しくないだろうか? 一番の親友と同じ女性を愛してしまったとき、身を引くのは難しいことじゃないのか? その女性が自分を頼ってきたらどんな気持ちになる? そして善意でやったことが親友を傷つけていたと知ったら?
ミッキーとエディが同じ家に育ったとしたら、2人とも幸せだっただろうか?
生き別れたまま出会わなかったとしたら、2人は幸せになれたのだろうか?

リンダだったら? 2人の男性から愛され、2人とも大好きだとしたら? 片方を愛して結婚したあとでも、もう片方を忘れられなかったら? その人が愛する人を助けてくれる人だとしたら? そして、その人がまだ自分のことを愛しているとしたら?



これはミュージカルの世界の話だ。
だけど、もし自分がミッキーだったら、エディだったら、ジョンストン夫人だったら、ライオンズ夫人だったら、リンダだったら?


私自身双子だから、「もし相棒と生き別れになったら」と考えたことは、もちろんある。

貧しい家庭で2人で育っても、生き別れたまま別々に育っても、それなりに幸福だったかもしれない。
だけど、もしミッキーとエディのように、階級の差がありすぎていたら? 同じ人を愛して、自分を選んでくれなかったら?
それは不幸かもしれない。

もし生き別れた双子の片割れに会えなかったとしたら?
それはそれで、けして幸福ではないと私は思う。
常に心のどこかで片割れを――たとえ自分が双子だということを知らなかったとしても――求めるような気がする。





偽りの中で生き続けることと、真実を知って死ぬこと。
どちらがより幸せなのだろう?











おまけ。
田代さんの“言わない気持ち”と金さんの“ただの物語”が素敵すぎでした。
特に“言わない気持ち”は発ぴょ(以下略)
そしてやっぱり下村さんは妖艶です!

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