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CHC理論に基づくWISCの変化

2019年01月07日 | 教育
1 時代の変化がWISCの変化に現れる

 前回の物からWISC-Rが出るまでに,25年,その後WISC-Ⅲが出るまでに17年が
かかった。しかし,今回,WISC-Ⅳが出たのは,わずか5年後のことである。この異
例の速さは時代の変化と社会のニーズが色濃く反映されている。そして,すでに
WISC-Vの日本版の作成も始まっている。
 それまでは,アセスメントの一つとして検査を行い,その結果を解釈して,学習等
への指導へとつなげた。①検査―②解釈―③指導という一連のプロセスが重要である
と言える。

しかし,現在は,現場の「すぐに指導へ」とつなぐ要求が高まった。インターネッ
ト社会には反映される時代のスピードが物語るものかもしれない。①検査―②指導の
プロセスが求められる。検査の結果が指導の根拠を的確に表すものが必要となった。
先に出たDN-CAS認知評価システムなどは,LDやADHD,高機能自閉症の子どもたちに見
られる認知の偏りの傾向が分かり,支援,指導につなぎやすい。その直結型ともいえ
るスタイルをWISCーⅣでも求められた形である。そのため,これまでとかなり内容が
変わり,下位検査の重要性も同じ検査の中で逆転してしまったものもある。言語性IQ
と動作性IQも意味が薄れ廃止された。

2 CHC理論が基盤となっている

 知能の検査はもちろん,知能理論を根拠としている。WISCーⅣの元となっているの
は,CHC理論である。その妥当性の高さから多くの研究者に指示されている。

 1940年代,知能理論で席巻していたSpearmanの下で研究していたCattellは,知能の
因子を「流動性知能(Gf)」と「結晶性知能(Gc)」の2つに位置付けた。(Cattell,
1943,1963)「流動性知能」は記憶,計算,図形,推理など頭の回転の速さにかかわる
群で測定されるもの,「結晶性知能」は一般的知識などの群によって測定されるもの
である。(Gf-Gc理論)
 その弟子であるHornはさらに8つの因子を加え,10の同等である能力因子を示した。
 その後,Carrollが3層理論を発展させ,Hornと同じく多数の能力因子を示した。
 そして,広汎な能力因子に焦点を当てたHornとCarrollの2つの理論の統合が図られ
ることになり,できたものがCHC理論である。この理論の知能因子の中に,WISC-Ⅳ
の検査の根拠が含まれているのである。
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