コロとの出会い
あれから何年経っただろう。私は小学校の五年生になっていた。
学校からの帰り道、校庭の端にあるバックネットの裏で、「キュン キュン」と鳴く仔犬の声を聞いた。
『あれぇ? 犬がいるよ』
友達と一緒に連れて帰った。
『おかあさ~ん 学校にねぇ 犬が捨てられてたの。連れてきちゃった』
その犬の色は黒く、やせていてか弱く鳴くだけであった。
『もぉ~、また、犬? 飼えないからね。捨ててらっしゃい』
母にそう言われたがどうしてもその弱っている仔犬を見放すことができなかった。家の隣が空き地になっていてそこに連れて行った。
『ねぇ。お腹空いてるんじない?』
『何か、食べるかなぁ?』
『パン、あげてみたら?』
パンの切れ端をあげてみた。食べない。口を開こうともしない。
『じゃ、牛乳あげてみようか』
牛乳をあげてみた。飲まない。何でだろう。このままでは「死んじゃうよぉ」。最後の頼みは「水」だった。本来ならこの場合「水」を最初に与えるのだろうが、その時の私にそのような発想は無かった。
『じゃ、お水』
ペチャッ、ペチャッ。小さな音を立てて少しずつ水を飲み始めた。
『飲んだよ。飲んだよ』
『良かったねぇ』
そのやせ細った仔犬は少しずつではあるが元気になってきたように感じられた。
つづく・・・
引き続き、秋田犬の天華ちゃんの件、よろしくお願いいたします。
左下のカテゴリ『里親募集』へ
あれから何年経っただろう。私は小学校の五年生になっていた。
学校からの帰り道、校庭の端にあるバックネットの裏で、「キュン キュン」と鳴く仔犬の声を聞いた。
『あれぇ? 犬がいるよ』
友達と一緒に連れて帰った。
『おかあさ~ん 学校にねぇ 犬が捨てられてたの。連れてきちゃった』
その犬の色は黒く、やせていてか弱く鳴くだけであった。
『もぉ~、また、犬? 飼えないからね。捨ててらっしゃい』
母にそう言われたがどうしてもその弱っている仔犬を見放すことができなかった。家の隣が空き地になっていてそこに連れて行った。
『ねぇ。お腹空いてるんじない?』
『何か、食べるかなぁ?』
『パン、あげてみたら?』
パンの切れ端をあげてみた。食べない。口を開こうともしない。
『じゃ、牛乳あげてみようか』
牛乳をあげてみた。飲まない。何でだろう。このままでは「死んじゃうよぉ」。最後の頼みは「水」だった。本来ならこの場合「水」を最初に与えるのだろうが、その時の私にそのような発想は無かった。
『じゃ、お水』
ペチャッ、ペチャッ。小さな音を立てて少しずつ水を飲み始めた。
『飲んだよ。飲んだよ』
『良かったねぇ』
そのやせ細った仔犬は少しずつではあるが元気になってきたように感じられた。
つづく・・・
引き続き、秋田犬の天華ちゃんの件、よろしくお願いいたします。
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