もうひとつの部屋

昔の記憶に、もう一度会える場所にしようと思っています。

ねねの日記・31 ・・・「レーカ」って真っ白!

2017-12-31 16:21:22 | E市での記憶
アタシがまだちっちゃくて
おじいちゃんとおばあちゃんの
おうちに住んでた頃。

冬はすごーく雪が降るから
あっというまに積もるの
あったりまえだったんだけど・・・

夜遅くに、あんなとこ
なんでみんなで歩いてたんだろ。

どこかへ行った帰りだと
思うんだけど、思い出せない。


もとは野原か
田んぼの真ん中か
とにかく広~いとこだった。

遠くに林みたいなのが
黒く見えてたんだけど
だんだん暗くなってきたし
雪も降ってきて、見えなくなった。


それでも、道はあるし
積もった雪もあけてあるし
アタシの長靴でも
ちゃんと歩ける。

そう思ったんだけど・・・

みんな、ずっとずっと
ずうっと歩くの。

そろそろ知ってるとこに
出てもいいのに・・・って
思うようになっても・・・出ない。

どこまで行くんだろって
思いながら、でも歩いてたら
雪がひどくなってきて・・・

とうとう、前も
見えなくなっちゃった。


アタシは誰かと
手をつないでた。

おねえちゃんじゃなくて
おばあちゃんだったと思う。

手、つないでないと
もう怖くって歩けない感じ。

風が真横から吹くと
飛ばされちゃいそう。


「ふぶき」は知ってたけど
こんなの知らない!!

だって、前が全然見えない!


道の横が、よけた雪の
壁になってるからまっすぐ歩けるけど
壁がなかったら・・・どーなるんだろ。

どこ向いて行っちゃうんだろ。


寒いはずなのに
寒くなかった。

怖いから、もう
せっせと歩いた。

うちの近くまで来ても
まだまだ歩けそうだったくらい。
(アタシもけっこうヤレルじゃん!)


おばあちゃんが
通りかかったおじさんに
いつもみたいにあいさつしたら
「今夜はレーカやのう」って言った。

あとでカンゴフさんたちに
「レーカって何?」って聞いたら
「なんでも凍っちゃうくらい寒いこと」だって。


アタシはちょっと不思議だった。

そんな寒くなかったもん。


寒くなんかなくって
ただ「真っ白」なの。

右も左も(アタシ右と左、もうわかる)
ぜ~んぶ真っ白け、の、け。


雪が降ってるんだけど
どこから降ってるのか
もしかして降ってないんだか
なんかもう、全然ワカラナイ!


「レーカ」って
そんなモンなんだよ。






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