おばあちゃんは、いつも
ちょっとよごれたカッポウギつけて
家のあちこちで
なんかかんかしてる。
夏は、庭の畑のところで
ナスビとかキューリとか
トマトなんかの世話もする。
誰かに呼ばれたり
何か取りにいったりするとき
おばあちゃんは縁側を
さささっと走る。
「走ったらダメよ!」って
おかあちゃんに言われてるのに。
おばあちゃんは、ヒザが痛くて
この間、おとうちゃんに
「水をぬいて」もらったんだって。
アタシたちが一緒に住むようになるまで
この家には、レーゾーコも
センタッキもケーコートーも
電気ゴタツも電気ガマも
もしかして、水道のジャグチも
無かったと思う。
ほんとに。
アタシたちが引越ししてきて
電気屋さんが来て
ガス屋さんが来て
大工さんもたくさん来て・・・
ガチャガチャ手でこぐポンプが
ジャグチのついた「水道」になって
「マキのカマド」は「プロパンのコンロ」
茶の間の重たい火鉢のかわりに
赤い光の電気ゴタツ。
アタシたちが元々いた家の
白いレーゾーコと
手でくるくる回すとしぼれる
白いセンタッキも
おかあちゃんがおばあちゃんに
「こうすればいいから使って」。
ケーコートーはなかなか「つかない」けど
ものすごーく明るい。
おばあちゃんは、とっても
便利になったと思う。
でも・・・
おばあちゃんが毎日してることは
あんまりそーゆーのとは
関係なかったのかなあ。
おばあちゃんは、やっぱり
「一日中なんかかんかしてる」人のまま。
廊下の掃除なんかは
住み込みの看護婦さんたちも
手伝ってくれてたけど
細かいコトは大抵
おばあちゃんが一人でしてた。
アタシたちのご飯も
患者さんたちのご飯も
看護婦さんたちのご飯も
ぜ~んぶおばあちゃんが作ってた。
おばあちゃんが
「自分のコト」してるのって
アタシあんまり見たことない。
ミドリヤのおばちゃんと
お芝居とか映画とか
昔は行ってたみたいだったのに
アタシたちが来てからは
行けなくなっちゃったのかなあ。
一度だけ、アタシがテレビの前で
よくわからない昔のお芝居見てたら
通りかかったおあばちゃんが
「ミズタニヤエコやの」って。
「おばあちゃん、好きなん?」
「やっぱりミズタニヤエコが
いっちゃん、品があってええのう」
確かにきれいな人だけど
声はこんなにしゃがれてる・・・
するとおばあちゃんは
「声が玉にキズやけど、の」
だって。
そのときだけ、おばあちゃんは
最後までテレビのお芝居見てた。
まっすぐ前見て
黙ったままで。
アタシは退屈だったけど
他にしたいことなかったし
一緒に白黒のテレビ見てた。
お芝居の幕が下りてきたとき
おばあちゃんは、ハッとなって
夢からさめたみたいな顔した。
で、そそくさと立って
台所の方に行っちゃった。
おばあちゃんがタタミに座って
お昼間テレビ見てるのなんて
それより前も後も、全然見たことない。
あの頃のおばあちゃんは
一日中「お仕事」してる人だった。
アタシたちが、また引っ越して
おばあちゃんは、おじいちゃんと残って
そのあとおじいちゃんが
急に亡くなるまでのこと
アタシはなんにも知らない。
寝たり起きたりのおじいちゃんと
おばあちゃんは二人暮らし。
どんな一日だったのかなあ。
いっぺんくらい
聞いてみれば良かったのに
そんなことカケラも考えなかった。
アタシはアタシで
「自分のコト」に忙しくて
おばあちゃんのこと忘れてた。
それくらい自分が大事なのに
おばあちゃんはそうじゃなかったの?
もう一度会ったら、聞いてみたい。
おばあちゃん、なんて言うかなあ・・・
ちょっとよごれたカッポウギつけて
家のあちこちで
なんかかんかしてる。
夏は、庭の畑のところで
ナスビとかキューリとか
トマトなんかの世話もする。
誰かに呼ばれたり
何か取りにいったりするとき
おばあちゃんは縁側を
さささっと走る。
「走ったらダメよ!」って
おかあちゃんに言われてるのに。
おばあちゃんは、ヒザが痛くて
この間、おとうちゃんに
「水をぬいて」もらったんだって。
アタシたちが一緒に住むようになるまで
この家には、レーゾーコも
センタッキもケーコートーも
電気ゴタツも電気ガマも
もしかして、水道のジャグチも
無かったと思う。
ほんとに。
アタシたちが引越ししてきて
電気屋さんが来て
ガス屋さんが来て
大工さんもたくさん来て・・・
ガチャガチャ手でこぐポンプが
ジャグチのついた「水道」になって
「マキのカマド」は「プロパンのコンロ」
茶の間の重たい火鉢のかわりに
赤い光の電気ゴタツ。
アタシたちが元々いた家の
白いレーゾーコと
手でくるくる回すとしぼれる
白いセンタッキも
おかあちゃんがおばあちゃんに
「こうすればいいから使って」。
ケーコートーはなかなか「つかない」けど
ものすごーく明るい。
おばあちゃんは、とっても
便利になったと思う。
でも・・・
おばあちゃんが毎日してることは
あんまりそーゆーのとは
関係なかったのかなあ。
おばあちゃんは、やっぱり
「一日中なんかかんかしてる」人のまま。
廊下の掃除なんかは
住み込みの看護婦さんたちも
手伝ってくれてたけど
細かいコトは大抵
おばあちゃんが一人でしてた。
アタシたちのご飯も
患者さんたちのご飯も
看護婦さんたちのご飯も
ぜ~んぶおばあちゃんが作ってた。
おばあちゃんが
「自分のコト」してるのって
アタシあんまり見たことない。
ミドリヤのおばちゃんと
お芝居とか映画とか
昔は行ってたみたいだったのに
アタシたちが来てからは
行けなくなっちゃったのかなあ。
一度だけ、アタシがテレビの前で
よくわからない昔のお芝居見てたら
通りかかったおあばちゃんが
「ミズタニヤエコやの」って。
「おばあちゃん、好きなん?」
「やっぱりミズタニヤエコが
いっちゃん、品があってええのう」
確かにきれいな人だけど
声はこんなにしゃがれてる・・・
するとおばあちゃんは
「声が玉にキズやけど、の」
だって。
そのときだけ、おばあちゃんは
最後までテレビのお芝居見てた。
まっすぐ前見て
黙ったままで。
アタシは退屈だったけど
他にしたいことなかったし
一緒に白黒のテレビ見てた。
お芝居の幕が下りてきたとき
おばあちゃんは、ハッとなって
夢からさめたみたいな顔した。
で、そそくさと立って
台所の方に行っちゃった。
おばあちゃんがタタミに座って
お昼間テレビ見てるのなんて
それより前も後も、全然見たことない。
あの頃のおばあちゃんは
一日中「お仕事」してる人だった。
アタシたちが、また引っ越して
おばあちゃんは、おじいちゃんと残って
そのあとおじいちゃんが
急に亡くなるまでのこと
アタシはなんにも知らない。
寝たり起きたりのおじいちゃんと
おばあちゃんは二人暮らし。
どんな一日だったのかなあ。
いっぺんくらい
聞いてみれば良かったのに
そんなことカケラも考えなかった。
アタシはアタシで
「自分のコト」に忙しくて
おばあちゃんのこと忘れてた。
それくらい自分が大事なのに
おばあちゃんはそうじゃなかったの?
もう一度会ったら、聞いてみたい。
おばあちゃん、なんて言うかなあ・・・
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