時代設定は19世紀のはじめ。1805年オーストリアに遠征したロシア軍が、ナポレオンに敗れて逃げ帰ってくる。オーストリアでの戦争が終り、ロシアに束の間の平和が訪れた場面から始まる。ナポレオンはプロイセン、オーストリアを個別に撃破、ポーランドを占領する。スウェーデンやトルコなどの弱国を除くと、ナポレオンに対抗できる勢力は、イギリスとロシアだけになっていた。1812年ナポレオンがモスクワに入城する場面が一つのクライマックスになる。自分が偉業を成し遂げるための道具でしかないと考えるナポレオンと、自分はロシアの歴史が流れていくための道具でしかないと考えるロシア軍の最高司令官の2人を対比させてゆく。特定の人物の行動を軸にストーリーを作り上げるというよりも、歴史的な事件が起きて、その事件に飲み込まれていく人びとが、何を感じ、どう生きたのかを浮き彫りにしてゆく。
. . . 本文を読む