アインシュタインは、21歳の時(西暦1900年)に初めて科学論文を出し、1955年、76歳で死ぬまでに多数の論文を書いた。その中でも、「奇跡の年」1905年に発表した「特殊相対性理論」がある。特殊とは加速度が加わらない状態、つまり、速さと運動方向が一定した状態、物理学用語でいえば「慣性系」「等速直線運動」という特殊な状態でのみ成り立つからこそ特殊であった。しかし、地球という限られた範囲、つまり宇宙から見れば限られた世界であり特殊な状態となるが、アインシュタインは、そんな特殊な状態でのみ成り立つような理論には満足できていなかった。
アインシュタイン以前は、重力をニュートンの「万有引力の法則」(宇宙の全ての物体はその質量と距離に応じた引力で引き合う)で説明していた。この法則には欠陥があると見抜いていたアインシュタインは、その説明のために、「特殊相対性理論」だけでは不十分と考え、これを発展させた「一般相対性理論」を完成する(1915年)。 実は惑星の観測から発見されていた「水星の近日点がずれる」という問題をニュートンの「万有引力の法則」では説明できていなかった。アインシュタインの「一般相対性理論」は、重力の源は空間の曲がりと説明する。物質があれば、その回りの空間は歪むという。空間を歪める物質の力が重力だ。「一般相対性理論」は重力に関する理論なのだ。
空間の歪み(曲がり)具合は物体の質量が大きいほど大きくなる。また、空間と時間は別々に独立できない。物体が運動すれば、周囲の空間(実際は時空)に影響する。宇宙空間には無数の物体があり、それらが時空に影響を与えている。結局、空間(時空)の曲がり具合は、物体の質量と運動(物理学的にはエネルギーと運動量)に依存する。それを表すのが、アインシュタインの「一般相対性理論」の基本式であり、一般に「重力場の方程式」と呼ばれるものだ。物質の存在が時空に歪みを生み、時空の歪みが物質を動かすという重力の起源が明らかにされた。
重力波は、時空(重力場)の曲率(ゆがみ)の時間変動が波動として光速で伝播する現象であり、巨大質量をもつ天体が光速に近い速度で運動するときに強く発生する。例えば、ブラックホール、中性子星、白色矮星などのコンパクトで大きな質量を持つ天体が連星系を形成すると、重力波によってエネルギーを放出することで最終的に合体すると考えられる。重力波の概念は、アインシュタインが一般相対性理論を発表した2年後に発表された。重力波の存在は間接的には示されていたが、直接の検出には100年を要したことになる。なお、素粒子物理学の標準理論において重力相互作用を伝達する素粒子として重力子なるものが想定されている。
かつて、ニュートンは、どこにも特別な場所などなく、我々の常識的な空間を絶対空間と呼んでいた。アインシュタインは、そのような永遠に変わらない絶対空間を否定し、空間は物質の存在によって歪むと説明した。そのことは直進するはずの光が曲げられる現象によっても理解される。光が曲がる現象は「重力場の方程式」によると、重力の非常に強い場所でない限り観察できない。重力の弱い地上では無理だ。そこでアインシュタインは、強い重力場を持つ太陽の縁をかすめてやってくる遠方の星の光が、どれだけ曲げられるかを計算し、予言した。「水星の近日点がずれる」ことについて、アインシュタインは「重力場の方程式」による計算結果と観測値が一致することをすでに確認していた。この時から、ニュートンの重力理論は疑われ始めていた。アインシュタインの予言から3年半後の1919年5月29日に皆既日食があり、世界各地、赤道近くで観測可能となり、運よく、おうし座の中心、その背後に多くの恒星があった。この時の恒星の位置と夜間の位置を比較すれば、その差が太陽の重力場の影響となる。そして、「一般相対性理論」も実証され、同時にニュートンの重力理論が覆された。アインシュタインが世界の超有名人になったのは、この時であり、現在、ハイテクを駆使した高精度の計測で、特殊相対性理論も一般相対性理論も検証されている。
ブラックホールは、「一般相対性理論」の最も有名な産物であろう。それは大質量の星が強力な重力で自ら崩壊してゆく時に生ずる。光すら逃げ出せない暗黒の天体であり、高性能な望遠鏡でも観測できない。現在、間接的ながら、断末魔のエックス線の観測により、白鳥座や大マゼラン銀河でブラックホールの存在が確認されている。最近になって、やっと重力波の存在が、ノーベル賞の受賞と共に話題になった。
アインシュタインの言葉が残っている。「どうして私に相対性理論が構築できたのだろうかと私は時々自分自身に問いかけます。私が思いますに、その理由は、普通の大人は空間や時間の問題を考えるのは子供の時なのですが、私は精神的な発達が遅かったために、空間や時間のことが不思議に思えてきたのが大人になってからだったからです。」と。
重力で光が曲がるという、理論的には曲がるようでも実際はどうなのか。アインシュタインが一般相対性理論を発表したのは、1915年。その直後の1919年にちょうど日食があった。重ねての説明になるが、太陽はかなりの質量があるので、その周りでは、わずかに空間がゆがんでいる。一般相対性理論が正しければ、太陽の向こう側の星から来る光は、太陽の重力によってゆがめられ、実際の星の位置とは違う位置に星が見えるはずだが、普段は太陽が明るくて観測できない、日食の時なら観測は可能だ。実際に観測した結果、星の位置がわずかにずれている事が実測された。本当にあるべき星の位置よりも少し離れた場所に、その星が観測できた。一般相対性理論の計算通りに光がゆがめられた。このニュースで世界中が大騒ぎになった。
また、観測対象の天体Aと、地球との間にブラックホールがあると、天体Aから発せられた光がブラックホールによりゆがめられ、ゆがんだ映像が地球に届く事がある。光の進み方では、1つしかない天体Aが、2つ観測される事もある。本来、真っ直ぐ進めば地球にやってくる事は無かった光が、途中のブラックホールによって軌道を変えられた。そのため地球から見れば左右反対方向に飛んでいったはずの光が、レンズで曲げられたかのように途中で突然地球を目指し、地球で2つの天体Aが観測できるようになった。すなわち、観測や実験により、重力で光が曲がると言う事が証明された。
光の速さはおよそ秒速30万km。 E=mc2、有名な公式。 Eとはエネルギー(単位;J〔ジュール〕)、mは質量(単位;kg)、c は光速=30万km/秒。「ある物体が持つエネルギーは、その物体の質量と、光速の二乗(=30万×30万=90億)をかけたものになる」。この「エネルギー」とは、実に様々な物を含む。その内の1つに、「運動エネルギー」がある。 「運動エネルギー」とは、「運動している物体(=移動している物体)が持つエネルギー」。運動エネルギーとは基本的にその動きが速ければ速いほど大きくなる。物体を加速させればさせるほど大きな運動エネルギーを持つ。
E=mc2 この公式の持つ意味は、「物体のエネルギーと質量は互いに関係している」ということになる。物体が重くなれば重くなるほどエネルギーが増し、エネルギーが増せば増すほど物体が重くなっていく。ある物体Xを加速し光速を超えさせようとする。初めは順調に加速を始めた物体X、次第に変化が現れてくる。加速させるためには後ろから押すなど何らかの力=エネルギーが必要になる。段々、加速させるために必要なエネルギーが増えてくる。速さが増すと言う事は、エネルギーが増すことであり、同時に質量が増すことになる。質量が増すと、その分、加速させるために必要なエネルギーは増える。段々と物体が速くなり、その速度が光速に限りなく近付くと加速に必要なエネルギーは莫大なものになる。理論上その物体を光速にするためには無限大の力が必要になる。「無限大の力」など存在しないので光速を超える事は絶対に不可能となる。ただ、「もし超えられたら…」と言う理想(?)から、「タキオン」と言う架空の物質が生み出された。「もしも物体が光速を超えるとどうなるのか?」その「光速を超えた物体」として、「タキオン」を生み出した。その計算の結果、「タキオン」は、光速より速く動ける代わりに光速より遅くなる事は出来ないと言う結果になった。また、「タキオン」は過去に突き進む物体になる。タキオンを光速より遅くするためには無限の力が必要になる。物体の運動を止めるためにもエネルギーが必要になる。タキオンの場合、光速ギリギリまで遅くする事は可能だが、光速にするためには無限大の力が必要になる。また、過去に突き進む理由、これは、「タキオンが光より速い」と言う事を考えればわかる。
物体が光速になれない理由は「無限大の力が必要だから」と説明されてきた。公式E=mc2を思い出してみる。なぜ、光は光速になれるのか。「物体の速度が増すと、エネルギーが増す」。実はこの説明は正確ではない。「質量(重さ)のある物体の速度が増すと、エネルギーが増す」 ということだ。物体の持つエネルギー量は、その物体の「質量」と、「光速の二乗」をかけあわせたものだ。もし「質量ゼロ」の物体があったら、ゼロは、何をかけてもゼロ。それが莫大な数字でも同じ事、つまり、質量ゼロの物体は、エネルギーもゼロ、エネルギーがゼロと言う事は加速させるために必要なエネルギーもゼロということになる。全ての物体が光速を超えられない理由は「無限大の力が必要だから」ということになる。光が光速になれる理由、それは「光には質量が無いから」だ。ここでいう「質量」とは「静止質量」を指す。静止質量とは止まっている状態での質量。動き始めたら、質量があるかもしれない。質量ゼロのはずの光にも、「エネルギー」は存在する、それは「光エネルギー」と呼ばれる。
電子レンジで物が温まるのも、太陽の光が暖かいのも、リモコンでテレビが操作できるのも、全ては光エネルギーのおかげ。この矛盾を解決するために「静止質量」という言葉を使っている。つまり「少なくとも止まった状態では質量は無い。しかし「エネルギーがあるのだから、動き始めたら質量を持つかもしれない」というようなものだ。また、「光には質量が無い」といってきたが、正確には、まだあるかないかはわかっていない。とはいっても、光が光速になれる以上、光に質量がないと考えなければ、理論的におかしい。
「時間」と言うのは、全ての物体(もちろん人も)がそれぞれ個別に持っているもので、世界共通の時間なんて存在しない。世界共通の時間、というのは「絶対的な時間」、いつどこで何があろうが絶対に変わらない時間。それが「世界共通の時間」といえるのだが、実際この世界にあるのは、全ての物体がそれぞれ個別に持っている時間だ。共通の時間が「絶対的な時間」なら、個別の時間は「相対的な時間」だ。個別の時間は、それを計る相手によって大きく異なる。ブラックホールの近くにいても、自分自身は普段通りの速度で動く事が出来る。しかし、外の人から見れば、ブラックホールの近くの人は、ものすごくゆっくりとした動作に見える。逆に、ブラックホールの近くの人から、外の人を見れば、ものすごく速い動作を見ることになる。「時間は相対的である。人は皆個人の時間を持っている」 それを証明したのが「相対性理論」になろう。
アインシュタイン以前は、重力をニュートンの「万有引力の法則」(宇宙の全ての物体はその質量と距離に応じた引力で引き合う)で説明していた。この法則には欠陥があると見抜いていたアインシュタインは、その説明のために、「特殊相対性理論」だけでは不十分と考え、これを発展させた「一般相対性理論」を完成する(1915年)。 実は惑星の観測から発見されていた「水星の近日点がずれる」という問題をニュートンの「万有引力の法則」では説明できていなかった。アインシュタインの「一般相対性理論」は、重力の源は空間の曲がりと説明する。物質があれば、その回りの空間は歪むという。空間を歪める物質の力が重力だ。「一般相対性理論」は重力に関する理論なのだ。
空間の歪み(曲がり)具合は物体の質量が大きいほど大きくなる。また、空間と時間は別々に独立できない。物体が運動すれば、周囲の空間(実際は時空)に影響する。宇宙空間には無数の物体があり、それらが時空に影響を与えている。結局、空間(時空)の曲がり具合は、物体の質量と運動(物理学的にはエネルギーと運動量)に依存する。それを表すのが、アインシュタインの「一般相対性理論」の基本式であり、一般に「重力場の方程式」と呼ばれるものだ。物質の存在が時空に歪みを生み、時空の歪みが物質を動かすという重力の起源が明らかにされた。
重力波は、時空(重力場)の曲率(ゆがみ)の時間変動が波動として光速で伝播する現象であり、巨大質量をもつ天体が光速に近い速度で運動するときに強く発生する。例えば、ブラックホール、中性子星、白色矮星などのコンパクトで大きな質量を持つ天体が連星系を形成すると、重力波によってエネルギーを放出することで最終的に合体すると考えられる。重力波の概念は、アインシュタインが一般相対性理論を発表した2年後に発表された。重力波の存在は間接的には示されていたが、直接の検出には100年を要したことになる。なお、素粒子物理学の標準理論において重力相互作用を伝達する素粒子として重力子なるものが想定されている。
かつて、ニュートンは、どこにも特別な場所などなく、我々の常識的な空間を絶対空間と呼んでいた。アインシュタインは、そのような永遠に変わらない絶対空間を否定し、空間は物質の存在によって歪むと説明した。そのことは直進するはずの光が曲げられる現象によっても理解される。光が曲がる現象は「重力場の方程式」によると、重力の非常に強い場所でない限り観察できない。重力の弱い地上では無理だ。そこでアインシュタインは、強い重力場を持つ太陽の縁をかすめてやってくる遠方の星の光が、どれだけ曲げられるかを計算し、予言した。「水星の近日点がずれる」ことについて、アインシュタインは「重力場の方程式」による計算結果と観測値が一致することをすでに確認していた。この時から、ニュートンの重力理論は疑われ始めていた。アインシュタインの予言から3年半後の1919年5月29日に皆既日食があり、世界各地、赤道近くで観測可能となり、運よく、おうし座の中心、その背後に多くの恒星があった。この時の恒星の位置と夜間の位置を比較すれば、その差が太陽の重力場の影響となる。そして、「一般相対性理論」も実証され、同時にニュートンの重力理論が覆された。アインシュタインが世界の超有名人になったのは、この時であり、現在、ハイテクを駆使した高精度の計測で、特殊相対性理論も一般相対性理論も検証されている。
ブラックホールは、「一般相対性理論」の最も有名な産物であろう。それは大質量の星が強力な重力で自ら崩壊してゆく時に生ずる。光すら逃げ出せない暗黒の天体であり、高性能な望遠鏡でも観測できない。現在、間接的ながら、断末魔のエックス線の観測により、白鳥座や大マゼラン銀河でブラックホールの存在が確認されている。最近になって、やっと重力波の存在が、ノーベル賞の受賞と共に話題になった。
アインシュタインの言葉が残っている。「どうして私に相対性理論が構築できたのだろうかと私は時々自分自身に問いかけます。私が思いますに、その理由は、普通の大人は空間や時間の問題を考えるのは子供の時なのですが、私は精神的な発達が遅かったために、空間や時間のことが不思議に思えてきたのが大人になってからだったからです。」と。
重力で光が曲がるという、理論的には曲がるようでも実際はどうなのか。アインシュタインが一般相対性理論を発表したのは、1915年。その直後の1919年にちょうど日食があった。重ねての説明になるが、太陽はかなりの質量があるので、その周りでは、わずかに空間がゆがんでいる。一般相対性理論が正しければ、太陽の向こう側の星から来る光は、太陽の重力によってゆがめられ、実際の星の位置とは違う位置に星が見えるはずだが、普段は太陽が明るくて観測できない、日食の時なら観測は可能だ。実際に観測した結果、星の位置がわずかにずれている事が実測された。本当にあるべき星の位置よりも少し離れた場所に、その星が観測できた。一般相対性理論の計算通りに光がゆがめられた。このニュースで世界中が大騒ぎになった。
また、観測対象の天体Aと、地球との間にブラックホールがあると、天体Aから発せられた光がブラックホールによりゆがめられ、ゆがんだ映像が地球に届く事がある。光の進み方では、1つしかない天体Aが、2つ観測される事もある。本来、真っ直ぐ進めば地球にやってくる事は無かった光が、途中のブラックホールによって軌道を変えられた。そのため地球から見れば左右反対方向に飛んでいったはずの光が、レンズで曲げられたかのように途中で突然地球を目指し、地球で2つの天体Aが観測できるようになった。すなわち、観測や実験により、重力で光が曲がると言う事が証明された。
光の速さはおよそ秒速30万km。 E=mc2、有名な公式。 Eとはエネルギー(単位;J〔ジュール〕)、mは質量(単位;kg)、c は光速=30万km/秒。「ある物体が持つエネルギーは、その物体の質量と、光速の二乗(=30万×30万=90億)をかけたものになる」。この「エネルギー」とは、実に様々な物を含む。その内の1つに、「運動エネルギー」がある。 「運動エネルギー」とは、「運動している物体(=移動している物体)が持つエネルギー」。運動エネルギーとは基本的にその動きが速ければ速いほど大きくなる。物体を加速させればさせるほど大きな運動エネルギーを持つ。
E=mc2 この公式の持つ意味は、「物体のエネルギーと質量は互いに関係している」ということになる。物体が重くなれば重くなるほどエネルギーが増し、エネルギーが増せば増すほど物体が重くなっていく。ある物体Xを加速し光速を超えさせようとする。初めは順調に加速を始めた物体X、次第に変化が現れてくる。加速させるためには後ろから押すなど何らかの力=エネルギーが必要になる。段々、加速させるために必要なエネルギーが増えてくる。速さが増すと言う事は、エネルギーが増すことであり、同時に質量が増すことになる。質量が増すと、その分、加速させるために必要なエネルギーは増える。段々と物体が速くなり、その速度が光速に限りなく近付くと加速に必要なエネルギーは莫大なものになる。理論上その物体を光速にするためには無限大の力が必要になる。「無限大の力」など存在しないので光速を超える事は絶対に不可能となる。ただ、「もし超えられたら…」と言う理想(?)から、「タキオン」と言う架空の物質が生み出された。「もしも物体が光速を超えるとどうなるのか?」その「光速を超えた物体」として、「タキオン」を生み出した。その計算の結果、「タキオン」は、光速より速く動ける代わりに光速より遅くなる事は出来ないと言う結果になった。また、「タキオン」は過去に突き進む物体になる。タキオンを光速より遅くするためには無限の力が必要になる。物体の運動を止めるためにもエネルギーが必要になる。タキオンの場合、光速ギリギリまで遅くする事は可能だが、光速にするためには無限大の力が必要になる。また、過去に突き進む理由、これは、「タキオンが光より速い」と言う事を考えればわかる。
物体が光速になれない理由は「無限大の力が必要だから」と説明されてきた。公式E=mc2を思い出してみる。なぜ、光は光速になれるのか。「物体の速度が増すと、エネルギーが増す」。実はこの説明は正確ではない。「質量(重さ)のある物体の速度が増すと、エネルギーが増す」 ということだ。物体の持つエネルギー量は、その物体の「質量」と、「光速の二乗」をかけあわせたものだ。もし「質量ゼロ」の物体があったら、ゼロは、何をかけてもゼロ。それが莫大な数字でも同じ事、つまり、質量ゼロの物体は、エネルギーもゼロ、エネルギーがゼロと言う事は加速させるために必要なエネルギーもゼロということになる。全ての物体が光速を超えられない理由は「無限大の力が必要だから」ということになる。光が光速になれる理由、それは「光には質量が無いから」だ。ここでいう「質量」とは「静止質量」を指す。静止質量とは止まっている状態での質量。動き始めたら、質量があるかもしれない。質量ゼロのはずの光にも、「エネルギー」は存在する、それは「光エネルギー」と呼ばれる。
電子レンジで物が温まるのも、太陽の光が暖かいのも、リモコンでテレビが操作できるのも、全ては光エネルギーのおかげ。この矛盾を解決するために「静止質量」という言葉を使っている。つまり「少なくとも止まった状態では質量は無い。しかし「エネルギーがあるのだから、動き始めたら質量を持つかもしれない」というようなものだ。また、「光には質量が無い」といってきたが、正確には、まだあるかないかはわかっていない。とはいっても、光が光速になれる以上、光に質量がないと考えなければ、理論的におかしい。
「時間」と言うのは、全ての物体(もちろん人も)がそれぞれ個別に持っているもので、世界共通の時間なんて存在しない。世界共通の時間、というのは「絶対的な時間」、いつどこで何があろうが絶対に変わらない時間。それが「世界共通の時間」といえるのだが、実際この世界にあるのは、全ての物体がそれぞれ個別に持っている時間だ。共通の時間が「絶対的な時間」なら、個別の時間は「相対的な時間」だ。個別の時間は、それを計る相手によって大きく異なる。ブラックホールの近くにいても、自分自身は普段通りの速度で動く事が出来る。しかし、外の人から見れば、ブラックホールの近くの人は、ものすごくゆっくりとした動作に見える。逆に、ブラックホールの近くの人から、外の人を見れば、ものすごく速い動作を見ることになる。「時間は相対的である。人は皆個人の時間を持っている」 それを証明したのが「相対性理論」になろう。