キリスト教の教祖イエスは、自分のことをユダヤ教徒と認識していた。しかし、厳格な律法を掲げ、律法を守る人間だけが救済されるというユダヤ教の教えに対して、イエスは異を唱え始めた。さらにイエスは、罪人も神に救済されるとも言い出した。ユダヤ教からすれば、イエスは明らかに異端となる。そのため、彼は謀反の罪でユダヤ教の幹部にとらえられ、その地を支配していたローマの総督によって十字架刑に処されたのだ。キリスト教の誕生は、ローマの歴史と重なっている。キリスト教が成立するのはローマ史の折り返し地点だった。また、イエスが名前で、キリストが名字と思われているようだが、それは違う。イエスというのは太郎とか一郎というように、当時のパレスチナにいた普通の男の名前であり、キリストは「油を注がれた者」という意味だ。ユダヤでは王が戴冠する時に油を注ぐ習慣があった。王は救世主というのがユダヤ教の伝統的な考え方だった。 . . . 本文を読む
ノーベル賞に輝いた山中伸弥教授のIPS細胞のことでいえば、IPS細胞は無限に増殖することが可能な幹細胞であり、組織や臓器のおおもとの細胞だが、それは、自らが増えてゆく複製能力と、分裂して他の細胞に分化する能力を持つ。そのIPS細胞を実験室でつくる時にはガン細胞が生まれることもあるという。山中教授は「再生能力とは、ガンになるのと紙一重だと思う。高い再生能力を持っているということは同時にガンができやすいということになる、だから、どっちをとるかという究極の選択が生物の進化の過程にはあった。人間のように50年以上も生きるようになると、次の世代に子供を残すため、十数年の間はガンを発生させない必要があり、涙を呑んで再生能力の方を犠牲にしたのではないかと、一人納得して思っている」と語っている。そして、ガンの幹細胞も見つかり、「がん幹細胞」と名付けられた。 . . . 本文を読む