ミュウタントのブログ

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先行き不安は市場にも現れている

2008-09-19 01:09:00 | インポート
 17日の東京市場は、リーマン・ブラザーズ破たんの激震に見舞われた前日の株安/債券高/円高をやや巻き戻す展開となった。米連邦準備理事会(FRB)が17日午前(日本時間)、保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に最大850億ドルの有担保融資を実施すると発表したことが背景にある。

 ただ、米金融機関の経営をめぐる不透明感が払しょくし切れないほか、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置きに対する市場の影響が未消化との見方もあり、これから取引が本格化する欧米の株式市場でトレンド転換の地合いを見極めたいという慎重な姿勢が強まりつつある。 
 株式市場では日経平均が反発し、上げ幅は一時200円を超えた。FRBがAIGへの公的資金注入を発表したことで、破たんを警戒していた市場に安心感が広がった。先物にヘッジ売りを入れていた投資家から買い戻しが先行したほか、銀行株、ハイテク株なども上昇した。「AIGが破たんとなった場合の市場に与える影響は計り知れないものだっただけに、米金融問題の1つのヤマは越えたという印象はある意味好感を持って迎えられた。
 しかし市場はAIG救済をいったん好感したが、米金融機関の経営をめぐる不透明感が払しょくされたわけではない。金融機能の正常化にも時間がかかるとの見方が少なくない。三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「リーマンは破たんさせ、AIGは救うという違いについて、米政府は金融システムへの影響の度合いということを挙げるのだろうが、明確な基準はなく米政府の裁量次第とも言える。マーケットは今後、救われる企業と破たんさせられる企業を見極めようと疑心暗鬼になるだろう」と指摘する。
 民間に自力更生力がない以上、生殺与奪の権利を米政府が握っている今の状況ではやむをえないのだろう。
 藤戸氏は「AIGが救われて株式市場ではショートカバーが入ったが、ネガティブな材料が出れば反対の動きになる。マーケットは当面ボラタイルな動きが続くだろう。今後の焦点は10月中旬以降の欧米金融機関の決算発表になりそうだ」と話している。(ボラタイル=相場の大変動、相場が大きく動く様)

 準大手証券のある関係者は「米金融大手にはかなり先行きがみえてきた感触はあるが、不安が完全に払しょくされたわけではない。FOMCで利下げを見送ったのも、先行き不透明感から切り札を残しておきたいということではないか」とみている。その上で「AIG救済は歓迎しているものの、日経平均の1万2000円回復は難しそうだ」との見立てだ。
 外為市場では、ドル/円が朝方の安値105.15円から一時106.72円まで上昇した。FRBのAIG救済策発表で「経営危機がうわさされていた大手金融機関に対する懸念は薄らぎ、リスク回避に伴う円高圧力が和らぐ」(大和証券SMBC・金融市場調査部チーフFXストラテジストの長崎能英氏)との見方が広がったためだ。クロス円でも円売りが優勢となり、ユーロ/円は同148円半ばから151.57円に、英ポンド/円は同187円後半から190円半ばに、豪ドル/円は同83円後半から85円後半にそれぞれ大きく上昇した。

 しかし、正午にかけて円売りは一服。ドルは106円を一時的に割り込む局面もあった。市場では「AIGの報道でいったん円売りに傾いたが、市場の(金融システム不安に対する)緊張感が完全にほぐれた訳ではない」(都銀)として、円を売り込む動きは限られた。

 ドル/円の上値では、輸出企業や一部国内投資家が戻り売りに動いたという。大和証券の長崎氏は、AIG救済でも「金融システムをめぐる不透明感は残り、新規資金が投じられて円から外貨へ資金が移動するとは言いがたい。市場は依然として不安定。慎重なスタンスが必要だ」と話している。

 前日はFOMCや米対内対外証券投資データ(TICデータ)などの手掛かりがあったものの、外為市場は総じて金融セクターをめぐる報道などを受けた株式市場の動向を見ながらの展開だった。ゴールドマン・サックスが四半期決算で大幅な減益を発表したことで、リーマン破たんに続き、米金融システムへの懸念が深まり、ゴールドマンの声明発表後もリスク回避志向に歯止めはかからず、ドルの需要が高まった。

 TICデータでは、7月の証券投資関連のネット資金流入額は61億ドルと、前月の534億ドルから大きく落ち込んだ。エージェンシー債が499億ドルの売り越しとなったことが主因とされる。

 一方、FOMCの金利据え置きに関し、金融市場では、当面は利下げよりも流動性供給策で金融市場の混乱の沈静化を図る姿勢を示したと受け止められた。ある証券関係者は「前日欧州株が軟調だったのに比べ米株価は終盤になって上昇しており、16日東京市場でみられた株安/債券高/円高トレンドを確認できないままAIG関連報道を好感した」とし、払しょくされない金融不安への懸念とAIG救済の効果のどちらが欧米マーケットで注目されるのか、17日の市場動向を見極めたいとの見方を示した。

 スタンダード・チャータード・外為ストラテジストのカルム・ヘンダーソン氏は、AIG救済発表後は多くのアジア通貨が最近の安値から回復しているとしながらも「株価と為替相場の当面の動きよりも大きな問題は、AIGの救済策がアジアの経済見通しを変えることができるかということだ。答えは明らかに否だ」とし、アジア通貨の反発は一時的なものに過ぎず、どのくらいの水準で売ればいいかということが焦点になってくると指摘している。

 国債先物中心限月12月限は、前日比1円06銭安の138円39銭と大幅反落して前引けとなった。FRBがAIGの救済策を受け、金融システム不安がいったん和らぐとの思惑から売りが膨らんだ。商品投資顧問業者(CTA)など海外勢の売りを巻き込みながら、先物12月限は一時138円06銭と138円割れ寸前まで急落。10年最長期国債利回り(長期金利)は同4ベーシスポイント(bp)高い1.505%に上昇した。前日の市場で加速した「質への逃避」を巻き戻す動きが入った。

 みずほインベスターズ証券・シニアマーケットエコノミストの落合昂二氏は「仮にAIGが破たんに追い込まれた場合、世界中にデフォルトが伝播(でんぱ)して連鎖的な破たんも予想されていた。その影響はリーマンの破たん以上になったのではないか」との見方を示す。その上で「不良債権が積み上がっている中で、他の金融機関の不健全な経営がクローズアップされつつある。質への逃避をいったん巻き戻すだけで、次の金融問題が浮上した段階で、米金利は利下げ期待を織り込んでいく展開になるのではないか」との見通しを示す。市場では、金融システム不安の加速が回避されたことから「テーマが金融危機からファンダメンタルズに移行するとの期待がある」(邦銀)との声が出ている。

 一方で、公的救済を否定したリーマンが破たんしたことを踏まえると、いざとなったら政府が助けてくれるというモラルハザードの問題として、公的救済の基準をどこに求めるのか説明が必要だと思う。今後、金融機関の経営問題がクローズアップされるたびに、公的救済の議論が巻き起こるとの見方を示す。FRB高官は、AIGが多くの企業や金融市場に幅広く関与しているとして、政府による救済の必要性を強調している。

 18日日経平均10000円を切る日などとタブロイド紙が大きく伝えていたが、現実味を帯びてきていることが怖い。