冬に入る胎児の形して眠り 大野鵠士 (獅子吼1月号/主宰24句)

2022年01月12日 | 主宰句・主宰句鑑賞
【獅子吼993号】令和4年1月号 主宰24句
~胎児の形~

文化の日顔を洗ひて朝来たる
*季語 文化の日/晩秋
  
ばったんこ寝ても覚めてもばったんこ
*季語 ばったんこ/三秋 (主季語 添水)

日差し得て千草八千草喜べり
*季語 千草・八千草/三秋 (主季語 秋草)

実紫玉砂利踏めば白き声
*季語 実紫/晩秋 (主季語 紫式部)

金風に枯山水の海白し
*季語 金風/三秋 (主季語 秋風)

億年の今日の一日よ菊日和
*季語 菊日和/仲秋

咲き直す金木犀の香ぞ強き
*季語 金木犀/仲秋 (主季語 木犀)

金木犀宴の後の如零る
*季語 金木犀/仲秋
  
天高し厩舎に馬はをらねども
*季語 天高し/三秋 (主季語 秋高し)
  
石棺の底へ斜めの秋日差
*季語 秋日差/三秋 (主季語 秋の日)

鉄道に乗らぬ日淋し秋の暮
*季語 秋の暮/三秋

天空の火球とならず柿一つ
*季語 柿/晩秋

秋深し田楽の串少し焦げ
*季語 秋深し/晩秋

銀杏今黄葉皆々樹下美人
*季語 銀杏黄葉/晩秋

一陣の風千枚の銀杏散る
*季語 銀杏散る/晩秋

火の国の火を噴く山よ冬隣
*季語 冬隣/晩秋

冬に入る胎児の形して眠り
*季語 冬に入る/初冬 (主季語 立冬)

風といふ箒に掃かれ散紅葉
*季語 散紅葉/初冬 (主季語 紅葉散る)

足腰の弱れる神も旅仕度
*季語 神の旅/初冬

神留守の色なり伊吹山の肌
*季語 神の留守/初冬

トラックの荷台は空よ神の留守
*季語 神の留守/初冬

神の留守跳ね放題の池の鯉
※季語 神の留守/初冬

小春日や膝に落ちたる鳥の糞
*季語 小春日/初冬 (主季語 小春)

湖を鏡に冬の花火かな
*季語 冬/三冬
※現状「冬花火」は季語とは見做されていないと思われます。  

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
滑稽な (きりぎりす)
2022-01-14 16:25:44
俳句や勾玉を思い起させる句、俳句を考えて長い時間公園に座っていたのでしょうかね、秋の終わりが想われる…
いろんな情景が目に浮かびます。駆け巡ります。
返信する
舌頭千転 (健人)
2022-01-14 19:01:03
発想豊かな句が本当に面白くて楽しませてもらえます。でもそれぞれに奥が深く、どうしたらこういう句が詠めるのかとため息が出るばかりです。暗唱するくらいに読み込めば少しは自分の句も変わって来るかと思い、散歩の時に一枚コピーを持って何度となく声に出して読んでいます。(時々ですが・・・)
返信する

コメントを投稿