失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「サルビアの花」 早川義夫 1994年

2010-04-22 | 
ジャックス解散後のソロデビューアルバム『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』(1969)収録の「サルビアの花」を25年後にリメイク。

①君のために
作詞・作曲:早川義夫
復帰作にしてセカンドアルバム『この世で一番キレイなもの』(1994)からのシングルカット。朴訥にして無骨。誰とも似ていない、あらゆる意味で商業主義とは最も遠い地平から響く声。長い活動休止期を経てやや声は柔らかくなってはいるが、やっぱりどこか危ない雰囲気は健在。
ミュージシャンクレジットを転記。
Dr 楠均、B 大久保晋、Gt 渡辺勝、Acc 森俊也、P.Steel 駒沢裕城、Tuba 関島岳郎、A.Sax 梅津和時、Vo. Pf 早川義夫

②サルビアの花
作詞:相沢靖子、作曲:早川義夫
早川義夫のソロ作品で、おそらく最もメジャーな曲。1972年に女子大生コーラストリオ「もとまろ」がヒットさせ、その後、天地真理、小柳ルミ子、岩崎宏美、甲斐よしひろ、井上陽水などなど多数のカヴァーあり。YouTubeではライブ音源として桑田佳祐、あがた森魚のヴァージョンも聴ける。それもこれも最初にもとまろがポプコンで歌ったおかげかと思うと彼女たちの功績は大きい。そんなグループ名じゃダメだろ、って皆に言われたに違いないけど。早川義夫が自身のサイトでもとまろについて書いた文章が興味深い。早川さん、業界じゃ伝説の奇人扱いだったんだろうね。
恋人(あるいは勝手にそう思いこんだ相手)が他の男と結婚してしまう。「教会の鐘の音は なんて嘘っぱちなのさ」、だからといって花嫁を奪いにいくわけではなく、「泣きながら君のあとを」「ころげながら 走り続けたのさ」って話。うーん、悪夢系。
このリメイクは、アレンジこそペダル・スチールやアコーディオンがゆったりした雰囲気を醸し出しているが、早川さんのドスの効いたヴォーカルがド迫力すぎ。非技巧派にしか出せない、鬼気迫る歌唱が堪能できる。

定価800円、中古で210円。
レトロ趣味な内装のカフェに座る黒眼鏡の男。撮影場所は鎌倉ミルクホール。

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2 コメント

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Unknown (yoiko)
2010-04-22 21:27:50
これはなつかしい!
ちょうどジャックスやソロに興味を持ったすぐ後、こうやってタイムリーにも復活して不思議な気分だったなー。個人的なタイムリーだけど…生きてる人なんだ!みたいな。ちなみに中学の卒業文集によせた作文のタイトルに「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」を拝借しました(笑)。
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Unknown (nakamura8cm)
2010-04-23 01:17:46
>生きてる人なんだ!
いや、まさに。私も気付いたときにはジャックス再評価の嵐が吹き荒れていたな。
本屋さんになってるって聞いて、それもまた世捨て人的なイメージで、伝説を盛り上げてる感じがしました。
>中学の卒業文集
うわ~そんな女子中生、ちょっとコワいけど見てみたい!そりゃ、つげも読むわ(笑)
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