失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「90'sセンチメンタルおせち」 STALIN 1989年

2007-01-05 | 
お正月とロック。これをミスマッチと感じること自体が「日本語ロック」の古くて新しい問題を象徴しているのかもしれない。世の中にクリスマスソングを歌うロックバンドは掃いて捨てるほどあるのに、正月ソングってほとんど聞かない。日本土着の文化と、外来文化であるロックンロールとの相性の悪さ?それを「カッコわるい」と感じることのカッコわるさ、底の浅さに気付いたクリエーターが挑む正月ソングには、独特の「ねじれ」と「孤高」が同居する。
ファーストアルバムの一曲目でお正月を題材に選んだはっぴいえんどは、やはり相当な確信犯であったと(今更ながら)思ったりする。大滝詠一「Rock'n'Roll お年玉」の諧謔もまたひとつの解だろう。

さあ、そこでスターリン。
ザ・スターリン、ビデオスターリンを経て、遠藤ミチロウが1989年に結成した新生「スターリン」3枚目のシングルがこれ。

①90'sセンチメンタルおせち
2曲ともクレジットが全く見当たらないが、多分遠藤ミチロウ作。
「遅いぞ!おせちはまだか 正月だ!」から始まるほとんど意味のない詞。後半に「一月一日」(森高千里もカヴァーしてた「年の始めの~」ってヤツ)が入っているのもご愛嬌。ハードコアパンクのザ・スターリンのイメージからすると割とソフトな印象かな。ミチロウが「春よ来い」を意識していたのはまず間違いないだろう。松本隆が「家さえ飛び出なければ」「何処で間違えたのか」と後悔を滲ませたのに対して、ミチロウは「うまいぞ!胸が高鳴る コブ巻きだ!」となんだか滅茶苦茶ポジティブ(?)。これも80年代末期の空気のなせる技か。そして来るべき90年代に向けて「大金持ちも 貧乏も Oh! Happy New Year 世紀末の幕開けだ!」と高らかに宣言され、曲は幕を閉じる。

②PRAGUE(プラハ)
これはミチロウ版「ロンドン・コーリング」ってことかな。高音部での声の張り方、遠藤賢司に近いものがある。

定価937円、中古で300円。
左のコラージュでごちゃごちゃしたのがジャケットで、右にある熨斗紙が挟まれていた。

それでは今年もよろしくお願いします。




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2 コメント

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ミチロウ! (Bassman)
2007-01-07 01:18:30
ご無沙汰しております。
本年もよろしくお願いいたします!

このシングルを新年早々持って来るとはさすがですね!
といって俺これまだ聴いた事ないや...。
同じアルファ時代の「真夜中のオモチャ箱」の短冊は所有してます。またどこかでお会いしましょう!
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こちらこそ (nakamura8cm)
2007-01-07 11:38:17
本年もよろしくお願いします。
年々厳しくなる8cm市場ですが、今年の初買いは昨日。20枚くらい買ってしまいました。全部で800円くらい。自分でもどうかと思うけど(笑)。

では、またお会いしましょう!
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