失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「君と夏と僕のブルー・ジーン」 エル・アール 1993年

2009-07-25 | 
L⇔Rの4thシングルはポリスター時代最後のシングルであり、嶺川貴子在籍時の最後のシングルでもある。

なおグループ名表記は、背表紙は「エル・アール」、表ジャケは「L⇔R」、裏ジャケでは「L-R」と揺れあり。ポニー・キャニオンに移ってからは「L⇔R」で統一される。

①君と夏と僕のブルー・ジーン NOW THAT SUMMER IS HERE
作詞・作曲:黒沢健一
鐘が鳴るゴージャスなサビではじまる。ちょっと出来すぎな堂々としたサビが、最初聴いたときは苦手だった。ひっそり美しいAメロ&ファルセット混じりの歌い方でブライアンの匂いがしてきたなと思うと、間奏では「Good Vibrations」が分かりやすく引用され、ビーチ・ボーイズへの想いが明らかになる。フリッパーズが「ドルフィン・ソング」(1991)の冒頭で「ゴッド・オンリー・ノウズ」をサンプリングした事実に対応してる。山下達郎が日本盤『ペット・サウンズ』CD再発に入魂のライナーを寄せた1987年から決定的になった「ブライアン・ウィルソン神格化」の路線上にあったできごとのひとつなのだ。ちなみにDouble KOのふたりと黒沢健一(と私)は同学年である。ちょっと日本語タイトルと離れた英語タイトルをつけて世界を広げてみせようってのもパーフリゆずりか。小沢ほどの策士ではないにしても。
曲は素晴らしいのに、タイトルがいまいちと思ってしまう。なんか「部屋とYシャツと…」のイメージと重なって…(失礼)

②アメリカン・ドリーム AMERICAN DREAM
作詞・作曲:黒沢健一
3曲の中ではシンセの音色に時代を感じてしまうが、これもファルセット多用の柔らかい黒沢の声が印象的。

③ボス・サイド・ナウ BOTH SIDES NOW [BONUS TRACK] '93東京商科学院イメージソング

アルバム未収録曲。これもビーチ・ボーイズっていうか66~67年頃のブライアンのアレンジでしょ。チェンバロ風の音が力強く響くイントロ、またもやひっそり系のAメロから開放感のあるサビへの急展開が素晴らしい。ピアノ&ベースの短い間奏もまことにブライアン。そしてもう一度サビへ。アウトロと言えるほどの余韻も残さず2分でいきなりフェイド・アウト。音量ツマミを乱暴に左回転させたような(確実に狙ってやってる)雑なフェイドアウトがまた60年代的。
ボートラ扱いなので歌詞の記載がないのはいいとしても、ソングライトのクレジットもない。でもまあ、黒沢健一作品で間違いないだろう。

定価930円、レンタル落ち100円。
西海岸の夏なジャケ。どこからどうみても完璧な「夏のシングル」なのに、じつは93年末(12月20日)のリリース。


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8 コメント

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Unknown (ドラム猫)
2009-07-26 05:10:49
どうもっす!(゜u゜)

もうメチャメチャ好きな1枚です!\(^&^')/

ボクはこの辺のL-Rの楽曲には泣きそうになるんですよね…。

なんかムチャクチャなんですけど、映画『1999年の夏休み』と笠木忍さんとこの時代のL-Rがボクの中ではなぜかひとつの記憶になっております(笑)。

『架空のノスタルジア』って感じで…森の中の湖畔の夏休みの記憶ってゆーか、いや!まったくそんな経験はないのですが(笑)

σ(^&^;)。。。

とにかく泣きそうになるんです…。

あ!「ボス サイド ナウ」は歌詞を書き起こしましたよ!(笑)。それぐらいにL-Rの楽曲の中でもトップレベルの名曲だと思います!(・&・)

そう!ブライアンに近い『ポップスの哀しさや業の深さ』を感じますなぁ~ぁ。この時期の黒沢健一はある意味、天才だったとさえ感じます(・&・)
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Unknown (yoiko)
2009-07-26 22:55:16
弟さんがビーチ・ボーイズ得意だと覚えている…兄さんもでしょーねえ。

>タイトルがいまいちと思ってしまう
そうなんですよ、なんか「あれ?まじめ?」みたいな(笑)そこら辺もふまえて、表で「フリッパーズ好き」といえてココを言えない半端なとこで。当時のPVも凝ってるんだけど、フリッパーズやピチカートみたいな完璧なアート感覚は持ち合わせていないような…。皮肉じゃないですよ、聴いてたんだから!(笑)
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Unknown (nakamura8cm)
2009-07-26 23:24:25
ドラム猫さん
>『1999年の夏休み』と笠木忍さん
いいですね~
あ、笠木さんの8㎝はまだ手に入れてないっす!(笑)
>『架空のノスタルジア』
ああ、よく分かります。確かに、3曲目は特にそうですね。東京商科学院ってスゴイのかも!?

yoikoさん
兄さんは萩原健太とビーチ・ボーイズ(とポール)のカヴァーユニットやってるくらいですから。

>完璧なアート感覚は持ち合わせていないような
そうかもしれませんね~フリッパーズに隙がなさすぎる、とも言えますけど(笑)
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Unknown (都市色)
2009-07-28 21:24:07
こんばんは。
あー、この曲大好きです。
間奏のペットサウンズ的展開は、グレイト3もデヴューシングルでもやってました。
イントロのドラムも良いですね。
何たって四人囃子の岡井大二さんが叩いてる訳で。
アルバムは持っていて、何故か意味なく二枚組でした。
良いアルバムですね。
嶺川さんが書いた曲が浮いてるけど好きです。
シングル持ってないので手に入れたくなりました。
彼らって、ポップス界の優等生ってイメージが付きまとっていましたね。本当はそうではないのでしょうけど。
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Unknown (nakamura8cm)
2009-07-29 00:27:51
こんばんは。
そうそう、シングルにはクレジットがなかったけど『ランド・オヴ・リッチズ』には上の2曲の編曲は「L⇔R & DAIJI OKAI」と書いてありました。フォローありがとうございます!

「ボス・サイド・ナウ」はキラリと光る小品で、短冊8㎝のボーナストラックという位置がばっちりはまっています。この一曲のためにいくらまで出すか、悩むところですね(笑)
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Unknown (moonlightdrive)
2009-07-29 09:48:06
ごぶさたです!
私、ずーっと前に「声質ランキングバトン」やったときに、L-Rのこの曲選んでました(忘れてた)。いい曲ですよね~。
>ちなみにDouble KOのふたりと黒沢健一(と私)は同学年
へええええ。なんかすごく通じるものを感じるなあ(含nakamura8cmさん)。センスのいい世代でありつつ、素直になりきれないんですねー(笑)。これより下の世代になると、もっとぜんぜん素直ですよね。
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ほんとだー (nakamura8cm)
2009-07-30 00:17:00

今、月ドラ確認してきました(笑)。
やっぱり棚谷さんのところで笑ってしまいましたよ。

そうなんですよ。
どーでもいい情報としては、黒沢健一とは誕生日も激近いんです。
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サビの歌詞が知りたいです (くろがね)
2019-11-30 02:11:06
③ボス・サイド・ナウ BOTH SIDES NOW [BONUS TRACK] '93東京商科学院イメージソング

この曲探しているのですがなかなか詳細がなくて困っています。
小学生の時に聞いた曲が気になっていて探しています。
㎝の時に画面にL⇔Rと書いてあった微かな記憶があります。
サビの歌詞が知りたいです。
自分が探している曲なのかとても気になります。

よろしくお願いいたします。
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