失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「銃爪(ひきがね)」 坂本冬美 1996年

2010-05-29 | 
ノエビア3発目。今回は、女性が男性一人称の曲を歌う。

①銃爪(ひきがね) ノエビア“コスメティック ルネッサンス”CMイメージソング
作詞・作曲:世良公則、編曲:奥居史生
世良公則&ツイスト、1978年のヒット曲。坂本冬美は、演歌歌手としてのアイデンティティーを崩さず、しかしわりと自然体で歌っている。冒頭「あーいそづかしの」の「♪あ~」を聴くと、世良作品はもともとコブシ入り歌唱と相性がいいのかも、と思ったりもする。世良独得の節回しと一体になったような作品を、ここまで歌いこなせるのはやはり実力派。この5年前のHISでの経験も活かされているはず。アレンジはちょっと時代を感じさせるデジタルなダンスビート。エンディングには男性ラッパーによる英語のラップが入る。

②港祭の夜は更けて
作詞:阿久悠、作曲:三木たかし、編曲:若草恵
これが凄いんだ。阿久悠・三木たかしの巨匠コンビが贈る、怪作ラテン歌謡。若草恵による祭囃子をイメージしたと思われる、和風で中南米なダンスビート(①とはレベルが違う)に、冬美のラップ!これがなんとも「粘る」ラップでクセになる。何かに似てると思ったら「おら東京さ行ぐだ」だったりはするのだけど。流れるように非ラップパートへ移行。「あんなこと 一生に一度~」の部分からは急に冬美はスローダウン。演歌調のメロディを、ダンスビートを無視するように(実際にはもちろんリズムを意識しつつ)ゆったり抒情的に歌う。再びスピードアップして、「百万人の人の中から~」のサビは陽水の「心もよう」に似すぎている。間奏のサックスソロからまたまた冬美ラッピン!ストーリーは省くけど、「会える筈もないのに」と諦めかけたところで、最後に旅の一座風「あッ あんた」。この衝撃を是非体験してもらいたい。ライブではきっと再現不能な、「盛りだくさん」の形容が似合う4分37秒。

③④カラオケ

定価1000円、中古で100円。
演歌じゃないときは髪を下ろす冬美。②のような怪作を聴いてしまうと、「また君に~」とかちょっと普通すぎて…いや、大ヒットおめでとうございます!


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「別れの朝」 世良公則 1994年 | トップ | 「愛が止まらない~Turn it i... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事