失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「叱らないで」 青山ミチ 1968年、瀬川瑛子 1994年

2013-02-26 | 
青山ミチの後期ヒット曲を、26年後に瀬川瑛子がカヴァー。

左、オリジナル。1992年に「ベスト・カップリング」シリーズで8㎝化。

①叱らないで
作詞:星野哲郎、作曲・編曲:小杉仁三
ムード歌謡色の強いサックスが唸るイントロにつづき「♪あの娘がこんなになったのは あの娘ばかりの罪じゃない」と切々と訴えるミチ。サビは「叱らないで~叱らないで~」と歌い上げて、「マリヤサマ」と落とす。教会で懺悔だったのか。
「ミッチー音頭」「涙の太陽」などパンチの効いたダンスナンバーで中ヒットを飛ばすが、「風吹く丘で」(1966)を最後にクラウンへ電撃移籍。この「風が吹く丘で」は移籍にともない、すぐ回収され幻のシングルとなった。2年後、ヴィレッジ・シンガーズが「亜麻色の髪の乙女(ON THE WINDY HILL)」とタイトルを替えてカヴァー。その34年後に島谷ひとみがカヴァーし、ヒットした。青山ミチのシングルが「覚醒剤­所持で逮捕され急遽発売が中止」という記載を見かけるが、移籍後すぐにクラウンでのシングルがリリースされているので、そうしたスキャンダルではなかったようだ。クラウン移籍後の曲タイトルは「ブルース」多め、ブルースじゃなくても「泣く女」とか湿っぽい雰囲気。「叱らないで」もその延長上にあるアダルト路線だったのだろう。クラウン時代では最も成功した曲になった。

②男ブルース
作詞:岡本旭・東山敏夫、作曲:佐々木俊一、編曲:小杉仁三
1967年のシングル曲。抽象的なタイトルどおり、歌詞の内容も「男度胸の 俺様は ねぐら定めぬ 渡り鳥」などと具体性なく「男」ムードで突っ走る。堂々とした歌唱で男の世界を歌いきるミチの男っぷりに脱帽。エンケン「男のブルース」はこの曲を意識してるだろうなあ。ちなみにB面は「女ブルース」。どんな曲なんだろ。

③④カラオケ
どーせ新録の非オリジナルだろ、と思ったら、60年代作品としては異例のオリジナルカラオケ!クラウン、物持ちがいいな。

演奏はすべてクラウン・オーケストラ。

定価1020円、中古で315円。
ファンキーな容貌は、ブラック・アメリカンの父の血による。


瀬川瑛子によるカヴァーシングル。

①叱らないで
作詞:星野哲郎、作曲・編曲:小杉仁三
コピペのミスじゃない。26年ぶりのカヴァーも、オリジナルと同じく作者の小杉仁三によるアレンジ。そういうわけで基本アレンジはまったく同じ。イントロのサックス聴くと、もしかしてオケそのまま流用?・・・それはさすがになかった。こちらも演奏クレジットは「クラウン・オーケストラ」。新録とはいえ、オリジナル演奏のミュージシャンが何人か残っていたかも。妙にラウンジーなピアノが加えられてるのは90年代的なおしゃれ感覚?瑛子のコブシまわしはちょっと情緒的過ぎる。

②①のカラオケ

③恋かがみ
作詞:野元高平、作曲:四方章人、編曲:南郷達也

④③のカラオケ

定価1020円、中古で210円。
どうでもいいけど、オフィシャルサイトでもこのシングルの存在がまったく忘れられてる。もしかしてカヴァーはカウント外なのかな。

関連瀬川
命くれない」 G3 FACTOR これもやっぱりクラウン。


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