ーしてやられた卓球ー
伊藤美誠と同い年、若干二十歳なのにも拘らず、ミルフィーユみたいに重層な懐の深さを持つ中国次世代エース・孫穎莎(ソンエイサ)……
オリンピックで初めて日本に金メダルを奪われた混合ダブルス決勝のショッキングな結末、許昕・劉詩雯ペアは中国メディアから手酷く問い詰められた
この屈辱、大粒の涙を湛えて「負けて申し訳ない」と繰り返したチームメイトの復讐を、孫穎莎は誓ったと云ふ
どのようにリベンジを果すか……
混合ダブルスの中国ペアは、試合開始後2セットを先取して、それから日本ペアから挽回され、最終7セット目は8点もの大量点差をつけられ、覆すことなく敗れた
孫選手も、1セット先取して、2セット目3ー9と大量点差をつけられた、しかしそこから先が彼女なりの復讐だったのかも知れない
美誠ちゃんも、この大量点差にも拘らず、逆転する気満々の孫選手の気迫を感じ取ったと聞く
ダブルスでの最終セットの大量点差が、この展開にオーバー・ラップする
孫穎莎は、ダブルスで叶わなかった逆転を自分自身が演じてみせた、3ー9の圧倒的劣勢から只の1点も取らせずに、2セット目11ー9でひっくり返してみせたのである、それだけの自信を裏付ける練習量があったのだと思わざるを得ない
彼女は、いかにも飄々とやってのけた
美誠ちゃんは、このセット一度として敵わなかった、てんで相手にされなかったのだ、完璧にマウントを奪られ、積み上げてきた自信と自尊心はズタズタにされたことだろー
ー THE DIGEST編集部の江國森記者の取材から、その裏の心理的攻防を垣間見てみよー
>試合後、伊藤の松崎太佑コーチは、孫がこれまでとは違う戦い方をしてきたことを明かした。
「孫選手がこれまでと違うことをやってきた。準備していなかったことに対して焦ってしまい、準備してきたところまで崩れてしまった」
これまで違うやり方とは、「わざとボールの質を下げてきたこと」だという。
「孫選手の特長は、女子でナンバーワンぐらいの強いボール。それに対してはすごく練習をしてきた。しかし、回転もスピードも少ないボールで、真逆のことをやってきた。(2020年の)ワールドカップで対戦した時も、少しそういう感じを出してきたので準備はゼロではなかったんですけど、極端にやってきたんで、美誠が対応できなかった」
伊藤とともに二人三脚で金メダルを目ざしてきた松崎コーチは、「美誠の力を出さないようなやり方を、まんまとやられてしまった」と唇を噛んだ。
‥‥ 美誠ちゃんが、一ヶ月間の中国遠征に臨んだとき、孫選手は練習中に近づいてきて、一緒に練習しよーと持ちかけて、最後に練習試合をしよーと誘ってきた
そのときの非公式の試合で孫選手は、いままでと違う試合運びで美誠ちゃんを戸惑わせた
彼女は、得意の強力な攻撃を返してこなかったのだ、いつもなら二人で高速ラリーで張り合い続けるのだが、彼女は何故かゆっくりしたリズムで「高速卓球」を避けていた
この練習試合、テレビ画面ではどちらが勝ったのか分からなかった、しかし勝者は孫穎莎だったに違いない
美誠ちゃんは、この交流がよほど嬉しかったらしく、持参のおにぎりを孫選手へプレゼントしていた
ソン・エイサは、喜んで口にして美味しいと大人の対応をした(このへんは、周恩来首相みたいだった)
まー、敵わないよ、このときの戦略を更に先に進めて、本番のオリンピックでは、従来と真逆の戦い方で揺さぶってきたわけだ
流石に、兵法の天才・孫子を産んだ国だけのことはある、まるで駆け引きのレベルが違う、大人と子どもみたいなものである
孫穎莎が短時間で勝利をモノにした時、わたしは金メダルは陳夢だなと察した、まだまだ中国の奥行きは日本の及ぶ処ではないと暗示したのだと思う
孫穎莎(ソンエイサ)は、リオ五輪の金メダリスト・丁寧選手のお抱えの練習相手(世界各国の強豪選手のコピー選手をつくって専用の対策を練る)を仕方なくつとめ、そこから同じ舞台にまで這い上がってきた叩き上げの猛者である
伊藤美誠ちゃんの三位決定戦は、目が死んでいた
はたして、そのトラウマに押し潰されることなく、反発のエネルギーとして全力でリベンジに臨めるものだろーか?
全力で自らを出し切る、それが「試合を楽しむ」とゆーことだと思います
「58歳で、あれだけ動けるのは凄い」とネット上で話題になっている、ルクセンブルクの姐御 、ニー・シャーリエン 選手(元・中国代表選手)は、タイム休憩中にコーラをガブ飲みしておられた ♪
惜しくも、韓国の天才少女に敗退してしまったが、昔懐かしいペンホルダーであの老獪な戦いぶりは、往年の名選手であるだけでなく、いまも老兵としての熟練したスキルと一切の無駄を排した(ある種の)芸術的パフォーマンスを遺憾なく発揮しておられた
あの御姿こそ、「全力で楽しむ」とゆーことなんじゃないかな
ーしてやったり柔道ー
「寝技の女王」、寝技師・濱田尚里選手は何と4戦オール寝技勝ちとゆーとんでもない戦い方を世界中に教えた
ロシアの格闘技「サンボ」でも世界チャンピオンになられたらしい
宗教が高い人間性を求めるものだとすれば、高度な宗教には必ず高度な体術(身体の動かし方)が存在するとゆーのが私の持論だが……
例えば、禅宗には少林寺武術、道教にも武当派の中国武術、イスラム(回教)には八極拳や心意六合拳、日本神道にも神道流(塚原卜伝の新当流は同じ意味)や鹿島神流や『子連れ狼』の水鷗流など…… 日本禅の影響が大きいのは無住心剣術(新陰流系統)や『剣客商売』の無外流、山岡鉄舟の一刀正伝無刀流などがある
ハマダ選手が修めた「サンボ」は、ロシア聖教(キリスト教)の体術とも云えるものである、軍隊で発達した「コマンド・サンボ」もある
日本柔道には、嘉納治五郎が「講道館」を設立し、古流柔術を「柔道」に改変するときに捨てた、関節の逆極め技や絞め技や当て身技などが地下水脈として、秘かに連綿と流れ続けている
寝技にしても、戦後マッカーサー占領下で旧制高校が廃止になって、やむなく歴史上から消えた「高専柔道」なる、寝技に特化した特殊な柔道が存在する
「高専柔道」の「高専」とは、旧制高校・大学予科・旧制専門学校を包括した呼称で、現在の高専(高等専門学校)とはまったく違う
寝技とゆーものは、練習量を裏切らない、やればやっただけ練度が増してゆく、あまり才能に左右されないスキルである
だから未経験の旧制高校生をはじめ、短期間の修練でモノになるので、文武両道のエリート達の間で、異常なまでに寝技が発達した
現在つかわれる、「三角絞め」や「膝十字」などは「高専柔道」で学生さん達が編み出した技である
自由な気風でクリエイティヴに開発された「高専柔道」の技や戦略は、現行の柔道に甚大なる影響を与えた
> 木村政彦先生と山下泰裕先生が絶対的な王者だったのは、2人とも「講道館柔道プラス高専柔道」という理想的な技術を持っていたからだ。
(木村先生は自らが高専大会に参加していたし、山下先生は師の佐藤宣践先生から高専柔道の寝技技術を吸収していた)
[※ サイト『増田俊也の執筆生活』より]
‥‥ 「木村政彦」といえば、プロレスの力道山のパートナーであった時代もある超一流の格闘家である
いま世界を席巻している 「グレイシー柔術」の創始者エリオ・グレイシー を柔道の関節技 「キムラロック(腕がらみ、チキンウィング・アームロック)」 で破った伝説の柔道家でもある
今回金メダルを奪った濱田選手は、こーした歴史的地下水脈となっている伝統の寝技技術を受け継いで体現しておられる武道家でいらっしゃるのである
そりゃ強いわ、立ち技から寝技に誘なう「引き込み」も自然で見事だし、あれだけ寝技が出来ると、立ち技にも自信をもって大胆になれる
いくら、研究して万全の対策を練ったつもりでも、日本柔道にはその上をゆく武道の伝統があります、濱田さんはその洗練されたスキルを世界に示してくださった
ー現在、濱田女史は自衛隊体育学校に所属しておられる陸上自衛官であられるとか……
自衛隊は物凄いですね、オリンピックの現場でもたんたんと活躍なされている
霧島ご出身の「薩摩おごじょ」は日本婦女子の鑑、良かおなごですたい ♪
_________玉の海草
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