今の師匠と出会って
いちばん最初に取り組んだのは平家物語だった
でもそれ以上に興味を惹かれたのが近松門左衛門
まずは
『堀川波鼓』
それから『曽根崎心中』を
で
『冥途の飛脚』で挫けた
河内弁で躓き 唄で躓き
どうにもこうにもならずに諦めた
でもね
ずっと心の中でくすぶり続けていたので
再びの挑戦したいと思い立った
披露する機会はないかもしれないけれど
できるところまでやってみよう
自分への挑戦だとも考えた
冥途の飛脚を抱えて師匠の胸に飛び込むことに決めた
稽古は楽しい
ダメダメダメが続くけれど
それがどんなに有り難いことなのか
今の私は知っている
いいね~うまいね~という甘い言葉は
ある意味 悪魔のささやきなのだと
知っている
師匠に見捨てられてしまわぬように
稽古に励む
とうてい身の丈に合わぬような課題に取り組む
66の手習い
いまが一番若いのだ
なんてことを呟きながら
格闘の日々