藤圭子さんの活躍をリアルタイムでテレビで観て歌を聴いていた世代からしてみると、彼女の転落死は衝撃でした。まだ62歳だったんですね・・・。心よりご冥福を祈ります。
お嬢さんの宇多田ヒカルさんから出された手記は衝撃的でもあり、ああ、やはり・・・藤さんの奇行は有名でしたから、そういうことだったんだなぁと改めて、周囲の人間の苦労を思うと、切ないものがありました。
というのも、昨年他界した私の母が、藤さんの症状で攻撃的な面が現れる時と似てる、認知症だったからです。
母は認知症を発症して3年位で他界してしまいましたが、一緒にいる父に対する下品な暴言や被害妄想などは、まともだった、友人たちから「上品なお母さん」と言われていた頃の母からは想像もつかない言動でした。
それでも、その状態が治まると、子供のように大人しくなってしまい、あの病気の複雑さを思い知らされました。
ヒカルさんの手記の中で「いろいろな母を見てきたけれど笑っている母を一番よく思い出します」のような部分がありましたが、私はそこを読んで、涙が出そうになりました。
(私の母の無茶振りや暴言に耐えて一緒に生活していた父も今は一人で住むには広すぎる一戸建てに一人で生活しています。持病があるので、私たち子供3人で交代で様子を見にいったりしています。)
晩年はそうやって酷い幻覚や被害妄想や押さえ切れない衝動に苦しめられていた母ですが、私の母も笑うことが大好きでした。ほんのささやかな楽しみを見つけては、面白おかしく過ごすのが大好きでした。
最期は苦しまずに息を引き取ることが出来て、死に目には間に合いませんでしたが、大きな病気を何回もして、大きな手術も複数回受けて、それでも83歳で、天寿をまっとうできたのは、幸せだったのだろうと思います。
親に自死をされることは、とてもとても辛いことです。どうしても残された家族に後悔と自責の念を残します。
でも藤さんは長い苦しみから解放されて、天に召されたと思いたいです。自殺は本当は一番いけない亡くなり方なんですけどね。
ヒカルさんには母の死を乗り越えて、心の傷が一日も早く癒え、また素晴らしい楽曲を提供して下さることを願ってます。