マダニに刺されて今日でちょうど2週間経ちました。SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の潜伏期間が1~2週間ですので、もう大丈夫かな?という感じです。
マダニに刺されたときの状況や対処したことについて投稿します。
なお、マダニの同定についてのややこしい説明はしませんが、気持ち悪い画像も出てきますので、お気を付け下さい。
まず、今回刺されたのは4回目です。3回目の時は昨年8月に森に入った翌日にサンダル履きで車で買い物に出掛け、帰りに足の親指と人差し指の間がモゾモゾするので、家に帰ってからルーペで見てみますと、刺されていました。
4回目は今年6月2日(日曜)に自宅の部屋でくつろいでいる時に膝裏に刺されました。前の日に森に入ってました。
ということは、万全の予防をしていても何処かの隙間をかいくぐってマダニは生活圏に入り込むということを示唆しています。
おそらく、3回目は靴に付着、4回目はリュックに付着したものと思われます。因みにマダニの飢餓耐性期間は相当長いそうです。また、吸血は生まれた幼ダニ、脱皮した若ダニ、成ダニの3回だそうです。
4回目のマダニは次のような形態をしていました。
左が背面、右が腹面。80%アルコール浸漬標本を実体顕微鏡下で観察し、撮影は接眼レンズにTG7のレンズを密着させて撮影。
頭胸部付近背面側。詳しくは説明しませんが、同定は2015yamauchi_ticks.pdf (niid.go.jp)
で行いました。上図の鋏角を刺して吸血します。薄く写っていますが、引き抜いたとき体内に残らずに無事に抜けているようで一安心です。
結果はフタトゲチマダニもしくはオオトゲチマダニだろうと推測しました。フタトゲチマダニはSFTS保毒の報告があるので注意が必要です。
病院(皮ふ科)に行かなかった理由。
1.日曜日であった。皮ふ科で抜いてもらう方が鋏角ごと抜けるので安全性が高いが、一日待てない。
2. 皮ふ科では炎症止めの軟膏しか処方されないことが多く、ダニの同定などできない(もしくはしない)医者が多い。(中には最初から抗生剤を処方する病院もあるかも)
で、翌日(月曜)県の感染症対策担当部署に次の点について質問した。
1.刺したマダニの種と病原体の保毒の有無が分れば、発症リスクが予測できるのではないか?、そのための検査機関はあるか。
2.何らかの症状を発症した場合、内科の受診となるが、どの医療機関を受診したら良いか。個人医院などでは対処できないのではないか?
3.アビガン(体内のウイルス量を減少させる効果があり、現在厚労省に申請中と聞く)の処方をスムーズに受けられるか。
担当者は即答できなかったので、上司等に伺って返事をするということで、結果、翌日次のような返答があった。
1.A:県には検査を行う機関はあるが、個人からの受け入れはしていない。医者などからの依頼があれば行う。
Q:ということは、重篤な症状が出て、かつ医者が調べる必要性があると判断しなければ検査しないということか?
A:現状はそのとおり。
2.A:どの病院が良いとは立場上言えない。最寄りの内科を受診して必要があればより大きな病院を紹介してもらうなどの対応をしてほしい。
3.A:アビガンについては、厚労省に申請中であるので直ぐに使えない。
Q:試験的使用は可能か?データの集積に貢献できると考えるが。
A:それについても担当医療者の判断で申請することになるが、時間が掛かるかもしれない。
個人的な意見ですが、死者が出るほどの感染症であって、今のところ薬のない状態であるので、関係機関において、もっと横の繋がりを真剣に考えて欲しいと考えます。
最後に県の感染症対策部署の名誉のために言っておきますが、担当者からは私の3項目の質問については、有意義である旨返答があってます。さらに、対応はとても丁寧で真摯な印象を受けました。
実際今のところ、SFTSの保毒率も低く(?)、かつ発症率も高くなく(?)、重篤になるのは高齢者が多いということで、あまり大げさに行政なども動いてないようです。
なので、まずは刺されない、車や家に持ち込まない、ことが重要ですね。
なお、参考までにどんな場所にマダニが多く生息するか、最近森林総合研究所から出された論文を張っておきます。国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所/マダニリスクが高い森林の特徴が明らかに —シカの密度と植生が鍵となる— (affrc.go.jp)