どこ吹く風

旅のことを主に書く。

クライネシャイデック

2006年08月07日 07時25分01秒 | モンブラン
 宿も決まり夕食も済ませてからホテルの近くを散歩した。
直ぐ上のレストラン風の建物を夫婦らしい人が点検している、シーズン入りしたのでオープンの準備をしに来たようだ。考えるに未だ本格的なシーズン入りでは無いとも言える、それ故た易くホテルが見つかるのだろう。

 ダンスサークルのメンバーにこういう状況もあったと話したら、奥さんが怒ったでしょうとかこのような杜撰な計画で行くものだ、とかの非難の声が出た。私としては綿密な計画に基づく行動だから、予定外の宿探しも慌てずに次善策が取れるのだと言いたい。
 見るべき所は見たい、そうするには日程・行動に弾力性が必要だ、そのためには行動を縛るホテルの予約を避けなければならない。旅を恙無く続けるには宿を決めておいたほうがいい、しかし日程をフレキシブルに自由に変更したい気持ちもある、天候の都合で延泊しなければならない状況も出てくるでしょう。矛盾するがどのように折り合いをつけるかです。

 そのために私はこの時期を選んだ、プレシーズンなので人出はそれ程多くないのでホテルは予約しないでもたぶん大丈夫でしょうと、根拠も無いのに確信に近いものを持っていた。この後でも満室で目当てのホテルに断られた日もあった。
でも旅とはこういうことがあっても良いじゃないですか、結果的に何とかその場を凌げれば。

 ベルナーオーバーランドではミューレン、クライネシャイデック、フェルスト、メンリッフェンで3泊することにしていたので、ユングフラウヨッホを見てフェルストまで上がれないというアクシデントは想定内の出来事といえる。騒々しいであろうクライネシャイデックでは泊まりたくない気持ちが何処かにあったのであのような行動計画を立てた面もあるにあった。

 ところが5時過ぎのグリンデルワルトにラウターブルンネン行きの電車が出てしまうと人影が見えない。昼間の混雑ぶりがウソのような静けさだ。
アイガーは目の前に聳えている、ユングフラウも頂上まで見える、陽射しも柔らかくなり肌寒くさえ感じる。鉄条網の柵を越えて牧草地帯に入ると花が咲いている、小さな池に木組みの小屋のベランダには大きな傘が付いているテーブルが並んでいる明日は大勢の客が坐ってこの景色を楽しむだろう。

 この空間、この景色を独り占めして暮れゆくクライネシャイデックを眺めた。
ホテルは二段ベッドが2台入っている狭い部屋でバス・トイレは共用のが3ヶ所あった。部屋からの眺めは悪く窓から洗濯物干し場に出られる。窓から出入りして星空や朝焼けを見た。
朝日に当たるアイガーを目の前にして”ハインリッヒ・ハラー 白いクモ”などの語句がアタマに浮かんだ、白いクモは何処にあるのか・・・
ピーク部分が赤くなり夜が明けた、気持ちの良い朝だ今日はフェルストに行きさらにメンリッフェンに登り、ハイキングでここクライネシャイデックに戻ってくる予定だ。荷物はここに預けておこう。

写真は朝日に映えるクライネシャイデックです。