新潟久紀ブログ版retrospective

財政課7「特命2「決算審査の早期化」(その2の2/2)」編

●特命2「決算審査の早期化」(その2)
~衝撃の通風事件と顛末(2/2)~

 左足のくるぶしが激痛なのだ。左足の指や踵が僅かに床に触れただけでも、大の男が声を抑えられないくらいに刺すように痛い。これはおそらく世に言う「通風」ではないか。今までの健康診断でもその原因となる「尿酸値」が規定値オーバーと指摘されていたが、自分は体内で独自にバランスできているので発症はしまいと何の根拠もなく思い込んでいたのだ。実際に発作が出てみて本当にまいった。救急車を呼びたくなるが日曜の夜であり、さすがにそれは気が咎める。明日月曜の病院の営業開始を待たねばなるまい。
 ベッドに横たわって安静にしたいのだが、シーツに足が着いただけで悲鳴が上がるほど痛いのだ。アクティブに動きまわった木曜と金曜の県外出張と、レジャーで騒ぎ、残業で座り仕事に集中して血行を悪くした土日のことが走馬灯のように振り返られる。それらの所業に共通して付随していたのは夏場こそゆえのビールの大量呑みであった。大汗をかき、利尿作用が高くプリン体も多いビールの大量摂取、脱水気味の体調で血行不良の机仕事に加えて足の酷使…。後から思えば「痛風様」招来のフルコースだった。痛みに疲れて薄れゆく意識の中で"後悔先に立たず"の普遍の理を唯々思うのであった。
 翌月曜日は、朝一で病院に直行だ。靴はおろかサンダルをつっかけるだけでも左足首に激痛が走り、車の運転など出来るはずも無い。妻に支えられて車の後部座席に横になり、妻に運転してもらって病院へ向かう。痛風ということが明らかであり、近所の内科医院でも良かったのだが、念のために私が人間ドックを何回か受けていて、全身にわたるカルテがある総合病院を受診することにした。
 しかし、その選択はある意味で上手くなかった。玄関から車椅子に乗せられて妻に押してもらって臨んだ内科の診察では、「一応、捻挫か骨折でないかどうか確認しないと」と言われてレントゲンを撮ったり整形外科の診察へ回されたり、「その他の疑いも潰さないと」などと血液検査をされたり。院内のいろんな部署に行く都度「痛風ですってば」と訴えるも、「はいはい確かめましょうね」と軽くあしらわれる。全ての検査等を終えて最初の内科に戻ると「高尿酸。痛風ですね。」と淡々と言われて鎮痛剤と尿酸を下げる薬の処方をいただいた。「最初からそう言っているでしょう」と思って頭に来るが、そんな怒りをぶつける資格が不摂生で招いた自分にないことも痛感する。物理的な足の痛みと心の痛みのダブルパンチが響く。予約なしの9:00の受け付けで会計を終えて出たときには15:00を過ぎていた。痛みと時間都費のむなしさ、終始妻に車椅子で押されて動く情けなさで涙がでそうな半日だった。
 自宅に戻り鎮痛剤を飲んで暫くすると嘘のように痛みが引いてきた。奇妙なもので、例のくるぶしのブヨブヨ感は残りつつも痛みだけが引いていくのだ。ある意味で麻痺させているということなのだから気を付けなくてはなるまい。「身体は弱ったり痛んだりした時こそ逆にハードに使うべし」という私の長年のポリシーは一気に敗北し、「もう歳なんだから不調時はとにかく安静第一」という姿勢へと転換した記念日になったのであった。
 あまりにも衝撃の痛風事件であったので、話の脱線も大変な大回りになってしまった。閑話休題。決算審査のための議案の新様式については、庁内の実務者の声を聞き他県事例も参照しつつ調整した私の素案が、若干の微修正を都度伴いながらも、思いのほか滞ること無く上層部へと了解されていき、目標だった12月議会の事前である11月下旬には、最終段階である議会の各党会派の了解まで取り付けた。もちろん副知事以上の役職や、議会筋への説明は私のような下っ端主任の出る幕ではなく部長らに対応して頂いたのだが、とにかく決着してくれればオーケーだ。
 あれから20年ほどを経るが、毎年決算審査の時期になると、配布されてくる決算書や関連資料を見ては、この書式は私が元案を作ったんだよなあ…としみじみと思い出すのだ。ただ、それと同時に通風事件もセットで思い起こされるものだから、あのころの不摂生を反省して、今の生活ぶりに問題はないかを点検する契機にもなっている。あの夏の激痛の前に監査職員と酒を酌み交わす中で相手から言われた「毎年何かの機会がないと健康維持のための自制につながらない…」といった趣旨が今もほろ苦く忘れられない。

(「財政課7「特命2「決算審査の早期化」(その2の2/2)」編」終わり。「財政課8「県職員勤めで最大級の惨劇(その1)」編」に続きます。)
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