ただいま~
実家ではお墓参りに行ったり友達のお見舞いに行ったりと
スケジュールが詰まっていて、『トビラ』は更新できませんでした
DOOR TO DOORを始めいろいろと録画した番組もみなくちゃ
アラシゴトが多くて嬉しいけど忙しいですねもちろん幸せ。
それではトビラを聴いてテンションしてからどうぞ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
妄想ドラマ 『 トビラ 』 (5)
「何をそんなにムキになってんの」
「うるさい。もうバンドをやってたことなんて俺には過去の思い出なんだよ!」
「思い出に出来ないから怒ってるんだろ。人に当たるなよ」
いつも穏やかな智がきつい口調で言い返してきたので余計に頭にきた。
「お前に何がわかる?大学だって中途半端にやめて呑気にブラブラしてるやつに言れたくねぇよ」
智がいきなり殴りかかってきて、取っ組み合いになった。
殴りあいながら俺の本音が顔を出す。
智を殴っても痛いのは自分の胸だ。
「やめて!」
いつの間にか夏美がドアを開けて立っていた。
「バンドのことカズくんに聞いた。私のこと思ってくれるんだったら、夢を諦める言い訳にしないで」
それだけ言うと悲しそうな目で俺を見て走り去った。
「お前は馬鹿だよ。逃げないで自分と向き合え」
呆然と佇む俺に、そういい残して智も部屋を出て行った。
どれだけの時間が流れたのだろうか。
引き出しの奥から、カズに渡されたCDを出してみる。
コンポにセットしてプレイボタンを押した。
洪水のように流れ出たメロディが俺を包み、
乾いていた全身が一つ一つの音を吸収していく。
徐々に心が満たされていき高揚する。
全身の血液がリズムを刻む。
押入れからベースを取り出すと、涙が頬を流れた。
すべてのしがらみから解き放たれていく。
何を迷っていたのか不思議だ。
俺の進む道はひとつしかない。
それからは早かった。
驚いたことに翔はカズたちと話をした翌日には決断し、身辺整理を進めていた。
親には勘当されたらしい。
出来のいい息子だっただけに両親は許せないのだろう。
俺も会社に辞表を出し、形だけの仕事の引継ぎも終わった。
もっとも、一年ちょっとの経験しかない俺がいなくなったところで
会社としては困らないらしい。
藤岡さんには引き止められたが、最後は応援すると言ってもらえた。
しばらくは貯金で食いつなぎ、いよいよの時は潤のところへ転がり込むことにした。
智はあの翌日、何事もなかったように帰ってきた。
昼間は絵を描いているらしいが見たことはない。
俺が早く帰れる日は夏美と3人で夕飯を食べる。
夏美はジェイストのファンクラブ会長は私だと言って笑った。
カズと潤の熱い思いが込められた曲のアレンジも進み、
ジェイストは前よりもパワーアップして蘇った。
ただひとつの問題を残して。
潤が声をかけていたボーカル候補とはうまくいかなかった。
ボーカルはカズでいこうと言う俺たちに、当のカズは首を縦に降らない。
「俺じゃだめなんだよ。俺が歌うことが枷になって自由に曲が書けなくなる」
「しかし、ジェイストと音楽性が同じでカズより実力があって、そのうえ俺たちと一緒にやりたいやつをすぐに見つけられるか?」
「確かに翔の言うとおりだよ。でも妥協すれば前と同じになると思う」
この一年、カズが音楽漬けの日々で作ってきた曲は自分で歌うことは想定外だ。
もっと音域が広くて上手いやつに歌わせたいのは当然だ。
「一人、歌わせてみたいやつに心当たりがある。ただしバンドをやるかどうかもわからない」
迷った末、俺は口を開いた。
「俺んとこに居る智なんだけど・・・お前らも知っているあいつ」
「どういうことか説明してくれ」
3人に言われて俺は前から気になっていたことを話した。
前に夏美の友達も一緒に7,8人でカラオケに行ったとき、
全然歌おうとしない智に夏美が無理やりマイクを持たせた。
洋楽しか聴かないからみんなが知ってる曲は知らないと言う。
誰かが絶対知ってるでしょと言ってふざけて選んだのが蛍の光だった。
いいを声しているのにも驚いたし、なぜかその歌に引き込まれてしまった。
気がつくと女の子たちはみんな泣いていた。
何だか感動してしまってその後は誰も歌う気がしなくて帰った。
「だけど蛍の光がどんなに上手くてもジェイストの曲とは違いすぎる。歌えると思うのか?」
「たぶん。どんな洋楽を聴いているのかは知らないけど、
ジェイストの曲はすごく好きでいつも聴いてると言ってた。お世辞が言えるやつじゃない」
「本人抜きでいくら話しても埒が明かないだろう」
潤の言うとおりだ。
俺は智に何の説明もしないで
カズたちが会いたがっているからと言って智を呼び出した。
------------つづく--------------
長らくお待たせ?してしまったので、この先はなるべくテンポ良く行きたいと思ってます
先が読めてきたかな?
でも妄想はすでにとんでもない方へ行っちゃってます
実家ではお墓参りに行ったり友達のお見舞いに行ったりと
スケジュールが詰まっていて、『トビラ』は更新できませんでした
DOOR TO DOORを始めいろいろと録画した番組もみなくちゃ
アラシゴトが多くて嬉しいけど忙しいですねもちろん幸せ。
それではトビラを聴いてテンションしてからどうぞ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
妄想ドラマ 『 トビラ 』 (5)
「何をそんなにムキになってんの」
「うるさい。もうバンドをやってたことなんて俺には過去の思い出なんだよ!」
「思い出に出来ないから怒ってるんだろ。人に当たるなよ」
いつも穏やかな智がきつい口調で言い返してきたので余計に頭にきた。
「お前に何がわかる?大学だって中途半端にやめて呑気にブラブラしてるやつに言れたくねぇよ」
智がいきなり殴りかかってきて、取っ組み合いになった。
殴りあいながら俺の本音が顔を出す。
智を殴っても痛いのは自分の胸だ。
「やめて!」
いつの間にか夏美がドアを開けて立っていた。
「バンドのことカズくんに聞いた。私のこと思ってくれるんだったら、夢を諦める言い訳にしないで」
それだけ言うと悲しそうな目で俺を見て走り去った。
「お前は馬鹿だよ。逃げないで自分と向き合え」
呆然と佇む俺に、そういい残して智も部屋を出て行った。
どれだけの時間が流れたのだろうか。
引き出しの奥から、カズに渡されたCDを出してみる。
コンポにセットしてプレイボタンを押した。
洪水のように流れ出たメロディが俺を包み、
乾いていた全身が一つ一つの音を吸収していく。
徐々に心が満たされていき高揚する。
全身の血液がリズムを刻む。
押入れからベースを取り出すと、涙が頬を流れた。
すべてのしがらみから解き放たれていく。
何を迷っていたのか不思議だ。
俺の進む道はひとつしかない。
それからは早かった。
驚いたことに翔はカズたちと話をした翌日には決断し、身辺整理を進めていた。
親には勘当されたらしい。
出来のいい息子だっただけに両親は許せないのだろう。
俺も会社に辞表を出し、形だけの仕事の引継ぎも終わった。
もっとも、一年ちょっとの経験しかない俺がいなくなったところで
会社としては困らないらしい。
藤岡さんには引き止められたが、最後は応援すると言ってもらえた。
しばらくは貯金で食いつなぎ、いよいよの時は潤のところへ転がり込むことにした。
智はあの翌日、何事もなかったように帰ってきた。
昼間は絵を描いているらしいが見たことはない。
俺が早く帰れる日は夏美と3人で夕飯を食べる。
夏美はジェイストのファンクラブ会長は私だと言って笑った。
カズと潤の熱い思いが込められた曲のアレンジも進み、
ジェイストは前よりもパワーアップして蘇った。
ただひとつの問題を残して。
潤が声をかけていたボーカル候補とはうまくいかなかった。
ボーカルはカズでいこうと言う俺たちに、当のカズは首を縦に降らない。
「俺じゃだめなんだよ。俺が歌うことが枷になって自由に曲が書けなくなる」
「しかし、ジェイストと音楽性が同じでカズより実力があって、そのうえ俺たちと一緒にやりたいやつをすぐに見つけられるか?」
「確かに翔の言うとおりだよ。でも妥協すれば前と同じになると思う」
この一年、カズが音楽漬けの日々で作ってきた曲は自分で歌うことは想定外だ。
もっと音域が広くて上手いやつに歌わせたいのは当然だ。
「一人、歌わせてみたいやつに心当たりがある。ただしバンドをやるかどうかもわからない」
迷った末、俺は口を開いた。
「俺んとこに居る智なんだけど・・・お前らも知っているあいつ」
「どういうことか説明してくれ」
3人に言われて俺は前から気になっていたことを話した。
前に夏美の友達も一緒に7,8人でカラオケに行ったとき、
全然歌おうとしない智に夏美が無理やりマイクを持たせた。
洋楽しか聴かないからみんなが知ってる曲は知らないと言う。
誰かが絶対知ってるでしょと言ってふざけて選んだのが蛍の光だった。
いいを声しているのにも驚いたし、なぜかその歌に引き込まれてしまった。
気がつくと女の子たちはみんな泣いていた。
何だか感動してしまってその後は誰も歌う気がしなくて帰った。
「だけど蛍の光がどんなに上手くてもジェイストの曲とは違いすぎる。歌えると思うのか?」
「たぶん。どんな洋楽を聴いているのかは知らないけど、
ジェイストの曲はすごく好きでいつも聴いてると言ってた。お世辞が言えるやつじゃない」
「本人抜きでいくら話しても埒が明かないだろう」
潤の言うとおりだ。
俺は智に何の説明もしないで
カズたちが会いたがっているからと言って智を呼び出した。
------------つづく--------------
長らくお待たせ?してしまったので、この先はなるべくテンポ良く行きたいと思ってます
先が読めてきたかな?
でも妄想はすでにとんでもない方へ行っちゃってます