オトギリソウの花と実
高校の同級生 Hさん、
地元でケーキ屋のオーナーと聞いている、
昔から頭の回転が良くて小奇麗である、
数年前にHさんの提案で
ラインのグループを結成した、
名付けて「やすらぎ」
故郷とそれぞれの居住地との
情報交換、
高齢者となった今日
病気の話題がよく出る、
孫の話題、
旅行の話題、
食べる話題に続いて
花の話題も登場する、
いつも話題の中心にいるHさんが
花の話題になるとなりを潜める、
そこで私は聞いた、
❝Hさん
花の話題になると投稿がないね?❞
Hさん曰く
❝花はあまり好きではないの
だから私は知らないの❞
これは意外だった、
見目麗しき彼女の口から
花は好きではない、
等という言葉を聞こうとは!
男なら無関心であることに違和感はない、
だから花が話題に上ることなど滅多にない、
花の好きな私など
例外中の例外であろう、
私は軽いショックを受けた、
そして彼女が何故
花を好きではないなどと言うのか
しばらく考えた、
老いてなお
Hさんは美形を保っている、
顔だちもスタイルも崩れていない、
父親は大学教授だったことなどもあり
出自は上流クラスといえるだろう、
勿論それを鼻にかけることなど微塵も無い、
行きついた結論、
恐らく
幼少のころから賢くしかも可愛くて
彼女はいつも話題の中心に居た、
だから
彼女は自身が❝華❞で
花はライバル
だったに相違ない。
友人のKさんが
ムギナデシコ(麦撫子)を持ってきてくれた、
昨日 Kさんを夕食に招待した、
彼は自分で栽培している花を持ってきて
わが家のカカ様を喜ばせてくれる、
花瓶もKさんが作った作品、
サイズを熟知しているので
持ってくる花に余分も不足もない、
言ってみれば活けた花は
器から花までKさんの作品だ、
彼はこのブログに何回も登場しているが
ひとり暮らし、
不治の病を抱えていると言う事が
なんとも切ない、
おまけに娘は遠方で所帯を持っている、
わが家とは古い付き合いだから
あまり神経は使わない、
❝夕食に招待❞と言っても
特別なもので饗応する訳ではない、
わが家で普段食べている食事の
量を増やして一緒に食べるだけだ、
彼は口八丁手八丁
友人も少なくないし
やることは色々あって昼間は
退屈しているようには見えない、
だが酒を飲まない彼が不治の病を抱えて過ごす
夜の孤独感は計り知れない、
先日風呂から上がって寛いでいたら
彼から電話がかかってきた、
取り留めもない内容に気づいて
しみじみと彼の侘しさ感じた、
そしてそれは
他ならぬ
自分自身の近い将来にも
繋がることになるのだろうと思った。