我 老境に入れり

日々の出来事をエッセイと写真でつづる

中津江村

2023-03-07 03:46:57 | ノンジャンル

                妙義山の奇岩群

友人からブルーレイが届いた、

彼は永年に亘ってわが故郷の情報を送ってくれる、

今回の情報は

2002年のサッカーワールドカップ日韓大会で

カメルーンの事前キャンプ地に選ばれた

大分県の中津江村とカメルーンの

交流を描いたドキュメンタリー番組だ、

題して

「カメルーンは家族」

誘致に至る経緯から20年を経た今日までの

村を挙げての交流は胸に迫るものを感じさせた、

そもそも中津江村は大分県でも僻地、

大分市から車で2時間程もかかる

熊本県に近い山間地、

人口は僅か650人ほどの小さな村だ、

誘致に名乗りを上げた84ヶ所の中でも

最も小さく最も不便な自治体であった、

村人でさえ

❝こんな何もない所で合宿するチームなんかある訳がない❞

と思っていたと当時を振り返る、

事実グランドと言えどただの草原で

宿泊する設備など全く整っていなかった、

そんなさびれていく村の状況を常々危惧していた

担当職員が各地のサッカーグランドを訪れて

芝の手入れやメンテを教わりグランドとして使える

状態にまで仕上げていった、

その熱意が子供から年寄りまでの村人に伝わり

誘致が村を挙げての一大事業になっていった、

最初に村を訪れたカメルーンの視察団は

この地が選手たちにとって一番サッカーに

打ち込めると判断をして合宿地に選ばれた、

選手が入村したその日は

トラブルがあって深夜になってしまったが

多くの村人が選手たちを熱烈に歓迎した、

大会では初戦で同じアフリカの強豪チーム

サウジアラビアを撃破してキャプテンのソングは

インタビューに

❝この勝利を中津江村の人々に捧げる❞

と答えた、

昨年の2022年ドーハの大会では

カメルーンチームは8年ぶりの出場を果たした、

村人達は応援のメッセージをビデオに収録し送った、

あろうことかカメルーンチームは

初戦で優勝候補筆頭のブラジルを破るという

ドラマを演じた、

それもアディショナルタイム残すところ1分の

劇的な勝利であった、

応援に集まった200人ほどの村人は涙を流して

これを祝福した、

村人は言う

❝カメルーンは過疎化に苦しむ中津江村を元気にしてくれた、

 以前は中津江村の住民だとは村外で言えなかったけど

 今では誇りを持って言える、

 その恩は一生わすれない❞

カメルーンと中津江村の交流は今やサッカーに留まらず

大分県の産業界をも動かし始めている、

下水道整備の進まない地域にバイオマスのトイレを

設置したり国内無数の放置車両をリサイクルする

工場を建設したり、

それらを現地の雇用に役立てると言う動きなど等、

嘗てカメルーンチームが練習したグランドで

大会も開催され今や

九州のサッカー少年にとっては

聖地と呼ばれるまでになっている。