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待ちに待った仁左衛門丈の舞台復帰に、開場1時間前に劇場についてしまった。
初日を迎えて劇場関係者の方々がお稲荷さんにお参りされておられるのに遭遇。
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「お祭り」
仁左衛門丈の「お祭り」といえば、大病から復帰された平成6年や、
千之助丈初舞台の「松栄祝嶋台」平成16年の初日の歓声が今でもはっきりと覚えているが、
今月も幕が開く前から大きな拍手が沸き起こって、歌舞伎ファンがいかに仁左衛門丈を
待ちわびていたかが伝わってくる。
「松栄祝嶋台」でニコニコと花道を歩いてこられた可愛かった千之助丈ももう中学3年生になられて
きびきびとした若い者で仁左衛門丈に絡んで、見事な側転を披露された。
相変わらずうっとりするほど素敵な仁左衛門丈
お怪我の方もすっかり良くなられているようで、
仁左衛門丈も本当に嬉しそうに舞台を勤められていたのがなにより嬉しかった。
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「お国山三 春霞歌舞伎草紙」
時蔵丈のお国に菊之助丈の山三 そして花形たちの若衆や女歌舞伎
亀寿丈や米吉丈ら花形たちが花道に居並ぶ姿は江戸絵画から抜け出たように美しかった。
また菊之助丈が幽玄な佇まいで、艶やかな時蔵丈と実に良い雰囲気。
「源平布引滝 実盛物語」
菊五郎丈の実盛・左團次丈の瀬尾とも、前半より瀬尾が正体を明かしてからの方がいい。
右之助丈の九郎助女房・橘太郎丈の矢走仁惣太・菊十郎丈の庄屋に深い味わいがあった。
「元禄忠臣蔵 大石最後の日」
仮名手本の大石より幸四郎丈はこちらの大石のほうが断然いいと私は思う。
とにかく「武士の鑑」としてまつりあげられてしまった義士たちがその名に恥じないように
全員が潔く死んでくれることを切望している大石がよく表われている。
孝太郎丈のおみのも磯貝との間に愛が存在したのか?に
拘りたい女の一途さが出ていてすごく良かった。
錦之助丈の磯貝もはまり役でご子息の隼人丈の内記も青年らしさが良く出ていた。
我當丈の荒木十左衛門は義士たちへの労いにも貫録があってさすがであった。
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