*朝UPしましたが、その後若干書き直しました*
『今日の芸術』 (岡本太郎 著 光文社 1999)を改装しました。
そもそもは1954年に、同社のカッパ・ブックスで出版されました。
序文によりますと、この文庫版は横尾忠則氏の要請で、近年再版されたものなのだとか。
横尾氏の作品も岡本氏の作品も、あんまりのろ好みではございませんが(評価しないということではなく、好みの問題です)
ブックオフをさまよっていた折にこの本が目に止まり、何となしに「これを読まねばならないのう」という気がしたので
ふらふら買ってみました。
良書でございました。
「今日の芸術はいかにあるべきか、また、なぜそうなのか」を、平易に、具体的に、かつまた明晰に、論じておられます。
50年も前に書かれた「今日」じゃあ、今はもう古びているかというと、これが全くそんなことはございません。
と申しますのも、本書の論は、その時代のみに照準を合わせたものではなく
いったい芸術とはどんなもので、社会の中でどんな役割を果たして来たものなのか、そしてこれからはどうなのか
という、より大局的な観点の中で展開されているからでございます。
非常に読み易い文章でありつつ、内容は濃くエネルギッシュです。
「解説」では赤瀬川源平氏が本書を、消化吸収のいい、スポーツ選手の食べるバナナに例えております。
「一つの時代には、一定の芸術の課題があります。(中略)われわれにはわれわれに与えられた当面の問題があり、それは当然それにふさわしい新鮮な形式によって解決されなければならないのです。」(p.64)
芸術論のみならず、ものの見方について、読者に一考せしめる本でございます。
印象的な言葉が沢山ございました。
その中の一つを裏表紙に使ってみました。
芸術は、いわば自由の実験室です。芸術の世界では、自由は、おのれの決意しだいで、今すぐ、だれにはばかることなく、なにものにも拘束されずに発揮できるのです。(p.172)
そうと分かっても、拘束から逃れることはなかなか容易ではないわけでございますがね。
見返しと同じデザインで、しおりも作ってみました。
これも再三申しております、11月の展覧会に出品いたします。
詳しくはこちらを。↓
NPO法人 書物の歴史と保存修復に関する研究会
最後に、本書の中から岡本氏御自身のエピソードをひとつ。
氏がパリとN.Y.で個展する前に、日本の講演会で
「あちらで何を得てこられるでしょうか?」と質問され
「いえ、こちらが与えに行くんです」と答えたという。
この気概、この真摯な、腹のくくりよう。
こっ れは カッコイイ。
しかし、この返事に満場の聴衆はドッと笑ったのだそうです。
うーむ。
『今日の芸術』 (岡本太郎 著 光文社 1999)を改装しました。
そもそもは1954年に、同社のカッパ・ブックスで出版されました。
序文によりますと、この文庫版は横尾忠則氏の要請で、近年再版されたものなのだとか。
横尾氏の作品も岡本氏の作品も、あんまりのろ好みではございませんが(評価しないということではなく、好みの問題です)
ブックオフをさまよっていた折にこの本が目に止まり、何となしに「これを読まねばならないのう」という気がしたので
ふらふら買ってみました。
良書でございました。
「今日の芸術はいかにあるべきか、また、なぜそうなのか」を、平易に、具体的に、かつまた明晰に、論じておられます。
50年も前に書かれた「今日」じゃあ、今はもう古びているかというと、これが全くそんなことはございません。
と申しますのも、本書の論は、その時代のみに照準を合わせたものではなく
いったい芸術とはどんなもので、社会の中でどんな役割を果たして来たものなのか、そしてこれからはどうなのか
という、より大局的な観点の中で展開されているからでございます。
非常に読み易い文章でありつつ、内容は濃くエネルギッシュです。
「解説」では赤瀬川源平氏が本書を、消化吸収のいい、スポーツ選手の食べるバナナに例えております。
「一つの時代には、一定の芸術の課題があります。(中略)われわれにはわれわれに与えられた当面の問題があり、それは当然それにふさわしい新鮮な形式によって解決されなければならないのです。」(p.64)
芸術論のみならず、ものの見方について、読者に一考せしめる本でございます。
印象的な言葉が沢山ございました。
その中の一つを裏表紙に使ってみました。
芸術は、いわば自由の実験室です。芸術の世界では、自由は、おのれの決意しだいで、今すぐ、だれにはばかることなく、なにものにも拘束されずに発揮できるのです。(p.172)
そうと分かっても、拘束から逃れることはなかなか容易ではないわけでございますがね。
見返しと同じデザインで、しおりも作ってみました。
これも再三申しております、11月の展覧会に出品いたします。
詳しくはこちらを。↓
NPO法人 書物の歴史と保存修復に関する研究会
最後に、本書の中から岡本氏御自身のエピソードをひとつ。
氏がパリとN.Y.で個展する前に、日本の講演会で
「あちらで何を得てこられるでしょうか?」と質問され
「いえ、こちらが与えに行くんです」と答えたという。
この気概、この真摯な、腹のくくりよう。
こっ れは カッコイイ。
しかし、この返事に満場の聴衆はドッと笑ったのだそうです。
うーむ。