つきよのうみにいちまいの てがみをながしてやりました
つきのひかりにてらされて てがみはあおくなるでしょう
ひとがさかなとよぶものは みんなだれかのてがみです
47歳の若さで世を去った寺山修司の生誕80周年。
夕べ、ラジオ番組で吉永小百合が朗読していた詩です。
特に寺山ファンというわけではありませんでしたが、幾つかの言葉や短歌などが記憶にあります。
たとえば、書を捨てよ街に出よう
たとえば、時には母のない子のように
たとえば、世界の果てまで連れてって
ふるさとをうたう歌でいちばん好きなのは、次の短歌でしょうか。
村境の春や錆びたる捨て車輪ふるさとまとめて花いちもんめ
寺山の短歌には、俳句からの盗用、盗作が多いと騒がれたことがありました。
が、もともと本歌取りという伝統もあることですから、要は言葉の組み合わせがどうかこそが本質。
色々と世間を騒がした人ですが、自らをうたったこんな短歌も。
麻薬中毒重婚浮浪不法所持サイコロ賭博われのブルース
時には母のない子のように
の歌は、このあと、黙って海を見つめていたい、と続きます。
そして2番目には、長い手紙を書いてみたい、のフレーズも。
ふるさと、うみ、てがみ。
寺山ワールドの真骨頂は天井桟敷による演劇なのでしょうが、これらも欠かせない気がします。
そして、その世界の芯には深い孤独があるように思います。
一番最後でもいいからさ
世界の涯てまで連れてって
世界の涯てまで連れてって