結~つなぐ、ひらく、つむぐ~

身近な自然や社会との関わりを通して、マイペースで、新たな自分探しに挑戦しながら、セカンドライフ、スローライフを楽しむ。

在りし日のシリア!

2013-06-21 | ボランティア

 6月20日は「世界難民の日」でした。今、緊急支援を必要としている国の一つにシリアがあります。

 「UNHCR Japan - 世界難民の日」……「2000年12月4日、国連総会で、毎年6月20日を 「世界難民の日」(World Refugee Day)とする旨が決議されました。この日は、もともとOAU(アフリカ統一機構)難民条約の発効を記念する「アフリカ難民の日」(Africa Refugee Day)でしたが、改めて、難民の保護と援助に対する世界的な関心を高め、UNHCRをはじめとする国連機関やNGO(非政府組織)による活動に理解と支援を深める日にするため、制定されました。」(http://www.unhcr.or.jp/event/info/)

 私は、JICAシニア海外ボランティア2009年2次隊(派遣期間:2009/9/29~2011/9/28)として、シリア第三の都市ホムスにある「工業省職業訓練局ホムス工業専門校」で、化学教育の教師用指導書作成支援活動を行っていました。しかし、2010年12月のチュニジア、2011年1月のエジプト、同年2月のリビアと続いた動きがシリアに及び、2011年4月末、政情不安による国内退避となり、そのまま、任期を終えることになりました。

 その間、アラブ世界で最強といわれたシリアが内戦状態となり、国が壊れようとしている過程を垣間見る中で、地球上のさまざまな国や地域で起きている事象について考えるようになりました。

 シリアの現状に心を痛め、どうしようもないもどかしさを感じながら、各種メディアを通して伝えられているシリアとは別の、「在りし日のシリア」について記したいと思います。

国の外から日本と自分を見つめ直す(1)

シニア海外ボランティアに挑戦

 在職中、私は高校の教師として、生徒や保護者に、「一度きりの人生なんだから、自分の夢に向かってとことんがんばり、悔いを残さないようにしてほしい」と言ってきた。

 定年を前に、考えた。「私は、自分の可能性のごく一部を生きたに過ぎない。今後は、5年を一括りとして、別の人生を生きよう」と。

 手はじめに、「国の外から、日本と沖縄、そして自分を見つめ直す」ため、JICAのシニア海外ボランティアに挑戦しようと考えた。

 早速、シニア海外ボランティアで検索し、「募集要項」「要請内容」を調べる。その後、「応募者調書」、「応募用紙」、「健康診断書」等をダウンロードし、応募書類を準備するが、作成に手間取り、春募集への応募をあきらめ、秋募集(20年11月)に応募した。そして、一次、二次選考を経て、最終合格(21年2月)となった。派遣国はシリアだ。

 その後、福島県二本松での65日間の派遣前訓練を経て、9月末に関空を出発、ドバイを経由してダマスカスに着いた。

シリア概要

 シリアは、アラビア半島の北に位置し、北にトルコ、南はヨルダン、東にイラク、西はレバノン、南西の一部がイスラエルと接している国である。日本の約半分の面積に、2060万人(2010年推定)の人口を抱えており、内訳はアラブ人85%、アルメニア人1%、クルド人10~15%であり、その他パレスチナ難民46.7万人、イラク難民75万人である。

 宗教はイスラム教85%(スンニー派70%、アラウィ派12%)、キリスト教13%といわれる。

 シリアは、古代文明発祥地の一つとして数千年の歴史を誇り、農業・工業・商業等のバランスがとれた産業構造をもち、教育水準が高く、国民の潜在的な力はかなり高いものがあると思われる。イスラエルと国境を接し、歴史的な経過から、イスラエルやアメリカに対する警戒心が極めて強いが、日本に対しては概ね好意的であり、近隣諸国等、外国人に対して寛大・親切である。当時は、治安状況も悪くなく、バス・セルビス等の料金や生活必需品の値段が安いので、外国人にとっても、暮らしやすい国だと感じた。交通マナー、約束や時間を守ること等に関しては、日本の規範意識とかなり異なる。他に関与しようとせず、マイペースであり、地域の日常生活全体がゆっくり流れている感じがする。あらゆる場面で、子ども・高齢者・障害者・女性・外国人や困っている人に対する思いやりの行動が、自然な形で出てくる。シリアに住みはじめて、これまでの中東に対するイメージが払拭された感じがした。……(つづく)


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