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明日への遺言

2008-03-09 01:44:13 | 活弁見聞録
つれ:「A級戦犯の実写フィルムは事あるごとに流れる一方、今となっては取り上げられることも少ないBC級戦犯裁判の様子を克明に再現した作品で、回想シーンや再現ドラマを一切排したストレートな時系列の展開からは裁判所の傍聴席にいるような雰囲気が味わえるんじゃないかぃ。
 筋の運びはスポット的なエピソードを話の行間をたっぷりとって編綴したような印象だけに、かの名作”私は貝になりたい”とかのBC級戦犯裁判全般についてのイメージがないと或いは冗漫に映るかもしれないけど、取って付けたように感じる裁判所内の人間模様も主人公のお人柄があってのことと思いを至せば、その行間が息苦しいほど隙間無く軍制や戦争の不条理で埋め尽くされてる感じだよ。
 日本じゃ爆撃だの空襲だのは遠い過去の話でも、世界を見渡せば今まさにこの瞬間にもどこかに爆弾が落とされてるかもしれず、つくづく戦争なんかするもんじゃないと思いつつ、世に戦争は無くならぬものらしいとの主人公の独白にも頷かざるを得ない辺りの無力感には、不信心者でも思わずお題目を唱えたくなるようだねぇ」
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