本のタイトルは『東近江 鈴鹿の旧鉱山を歩く』。
著者の岸原さんはかつて東近江市の中学校教諭として働き、その傍ら幼少期から興味のあった鉱物採集にも熱心に取り組んできた。鈴鹿の鉱山をテーマにした郷土の歴史研究家でもある中島伸男さんの講演に参加したのを機に、鉱物が豊富だった鈴鹿にもよく足を運び、点在する旧鉱山跡にも親しみを持っていた。
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そこで旧鉱山跡が消滅の危機にあることを知った。降水量の増加で土砂が鉱山跡の坑口や石垣を埋めている現状があり、全く痕跡が消えた鉱山跡もあったという。「誰かが今のうちに鈴鹿の旧鉱山の状況を写真にでも残さないと」。 退職後、東近江地域の旧鉱山の記録をまとめた本の制作に向けて探査で何度も鈴鹿の山に入り、構想から約10年を経て渾身の一冊が仕上がった。
本はA4判全80ページのフルカラー。参考文献をもとに点在する旧鉱山36カ所の歴史文化をひも解きながら、岸原さん自身の足で確かめた現在の旧鉱山跡の状況やルートを詳しく説明している。
更に、石垣や坑口などの現状を撮りためた約200枚の写真をはじめ、旧鉱山の主な産出鉱物や、当時の状況が知れる文献の絵図なども掲載。誰もが鉱山の歴史に馴染めるよう分かりやすく伝えている。
現在は中島さんと2人で鈴鹿旧鉱山の会を立ち上げ日々活動している。中島さんも「鈴鹿は登山だけではなく、鉱山というかたちで人々の暮らしがあったことを忘れないでほしい」と本に思いを寄せる。
岸原さんは「あと数年で消えるであろう鉱山跡も多い。少しでも市民の皆様に見ていただけたら」と話す。
本は非売品。東近江市内各図書館で貸し出している。
問い合わせ: 岸原さん(TEL 050―7107―4767)まで。
<滋賀報知新聞より>