滋賀県の事業「『幻の安土城』復元プロジェクト」に関して、5月25日、本格的な安土城の実像解明に挑む「令和の大調査」に向けた「特別史跡安土城跡整備基本計画」が策定へ動き出した。
↑写真:滋賀報知新聞より
安土城は、戦国武将・織田信長が琵琶湖畔に築いた城郭として名を知られているが、信長の死後に焼失し、実態は謎に包まれてきた。これまで、昭和、平成のそれぞれの時代に大規模な発掘調査が実施されてきたが、調査がされたのは史跡指定範囲の約20%で、いまだ未解明のエリアが多く残されている。
滋賀県では、全国的な知名度を誇る安土城の実像を明らかにし、目に見える形で復元して世界に誇れる安土城の魅力を広く発信することを目的に、
(1)安土城の実像の解明と現地の保全
(2)安土城見える化の検討
(3)安土城復元に向けての機運醸成
の3点を柱とした同事業を2019年度から進めており、昨年度までは、過去の調査結果のとりまとめや城跡周辺の赤色立体地図の作成などを実施したほか、「26年の安土城築城450年には、デジタル技術を活用した見える化を進める」とする方向性の決定などを行ってきた。
続く今年度からは、適切な調査・整備・活用の全体計画を定めた同基本計画を2か年かけて策定し、実像解明に着手する基礎を固めていく。
このほど、滋賀県大津合同庁舎で、基本計画策定のキックオフとなる第1回検討会議が実施され、
・三日月大造知事と滋賀県文化スポーツ部
・近江八幡市と東近江市の職員
・安土城跡土地所有者の宗教法人摠見寺・加藤耕文代表役員
・小和田哲男・静岡大学名誉教授(歴史・文化)をはじめとする考古・史跡 ・調査、建築、文化政策・都市計画、植生・環境、土木工学など各分野の専門研究者
・オブザーバーとして文化庁の文化財調査官や一般社団法人安土山保勝会の理事
などが出席した。
会議の冒頭、三日月知事は「かけがえのない安土城を将来に向けて守り続けていくためにまずは城跡の保全をしっかりと図りながら、実像解明をめざし、調査研究を地道に進めていくことが必要だ」と語った。
また整備・調査の始まりに対し、摠見寺の加藤氏は「宗教法人摠見寺は全面的に協力する」と述べ、小和田名誉教授は「個人としても喜んでいる」と期待を語った。
第1回の会議では、同基本計画について、各分野の専門家らが安土城の整備・保全に必要な項目へ意見を出し合った。今後、地元の近江八幡市と東近江市の住民代表らも参加する方針で、第2回目は10月に現地視察を予定している。
<滋賀報知新聞より>